今日も暑い。今日の最高気温は、栃木県佐野市の41℃、群馬県館林市と静岡県浜松市の40.2℃が灼熱地獄上位3都市だった。これは今年の最高気温であるが、過去に2018年7月23日埼玉県熊谷市と、2020年8月17日静岡県浜松市で41.1℃を記録して、これが国内の史上最高である。あと0.1℃で日本最高気温にたどり着くという。国内各地で熱中症警戒アラートが発表され、熱中症の疑いで都内では多くの人が救急搬送されている状態である。今では炎暑が日本国中を覆っている。そして東北地方の日本海側では、ここ数日暑さの中を豪雨が襲い、救助に向かった警察官がパトカーともども水中に埋没して死亡するという悲しい話もある。
その一方で、パリではオリンピックが花盛りである。日本ほどの暑さではなく、今日も東京都内は37℃だったが、パリは32℃だったうえに、日本より湿度が低いので、凌ぎ易いのではないだろうか。昨日兄妹で連覇を狙っていた柔道の阿部兄妹の妹が、2回戦で敗れるという思いがけない敗戦に、兄が連覇を果たして妹の屈辱を晴らしたことに称賛の声が上がっている。
こうした日本中が、大騒ぎをしている時に、インドの首都ニューデリーで開かれていたユネスコの世界遺産委員会が、一昨日新潟県佐渡島の金山を世界文化遺産としてその登録を認める決定をした。40年以上も以前息子たちがまだ小学生だったころ、車でフェリーに乗り佐渡島内をドライブして金山を訪れたことがある。その後1997年に市民団体による世界遺産登録に向けた運動が始まり、紆余曲折を経て漸く世界遺産と認定されたのである。佐渡は江戸時代に手工業による純度の高い金の生産地となった。ただ、金山洞窟内で労働者として多くの朝鮮人に過重労働を課していたことが、世界遺産登録申請の折韓国側から問題点として提起され、韓国側のこだわりと要望が強く、日韓両国間で協議事項となり、長い話し合いの時間を経て、このほど日韓両国の間で了解点に達したものである。
当初佐渡島民にとっては、狭い土地に世界遺産を登録しても島、並びに島民にとってそれほどのメリットはないと悲観的見方が強かった。それを市民団体が積極的に盛り上げ、自治体も協力して足並みを揃えることが出来て、今回漸く世界文化遺産の登録となったのである。先ずは、めでたしめでたしである。
世界遺産登録と言えば、個人的に思い起こすのは、「鎌倉」である。今から四半世紀前に高校ラグビー部の親しい後輩が鎌倉市長となり、彼が鎌倉を世界文化遺産都市として登録したいと強い意欲を語っていた。「鎌倉幕府を開き、武士による政治を初めて行った都市」として世界遺産認定を訴えたが、ユネスコでは政治を行った幕府の建物などの遺跡がまったく残っていないのでは、要件に欠けるという見解を押し付けられ、その後ペンディング状態のままである。爾来今後どうするのか、鎌倉市は何の行動も起こしていない。鎌倉幕府の建物の跡地には、現在市立御成小学校校舎が建ち、武家社会を偲ばせるような空気や環境はない。2度申請して認められなかった場合は、3度目の申請が出来ないことから、鎌倉市は世界遺産登録を今後どう扱うのか、外からは分からない。当時の竹内謙・鎌倉市長にとっては何とも悔しい気持ちであろうが、彼はすでに11年前に他界してしまった。
鎌倉市には、現下のオーバー・ツーリズムに乗ってインバウンド客を主に、多くの観光客が押し寄せている。経済的には世界遺産効果はなくとも、近くの江の島を含めて他の観光地に引けを取るものではない。泉下で竹内元市長は慙愧の念に堪えないかも知れないが、鎌倉市は今のところ世界遺産とは関係なく、それなりにその名と存在感をアピールしているのではないかと思う。