6180.2024年7月14日(日) 静かなチベット人の力強い生活力に感動

 昨晩NHK・BSで1時間半に亘ってドキュメンタリー番組「水上の大移動~チベット・世界最標高の村~」と題して、標高5,070mのサイ村という人口僅か150人ばかりの村落の羊飼いの1年間の生活ぶりを紹介していた。首都ラサ(海抜3,650m)より遥か高地で厳しい気象と希薄な空気の中、遮る森林もなく吹きっさらしの湖畔の村人たちの厳しい生活ぶりを感動しつつ観ていた。

 彼らの主たる仕事は牧畜であり、ほとんど草木のない住まい周辺から草地を求めて飼育している約2千頭の羊を移動させることである。だが、気候の変化が激しい高地には羊たちを飼育させるには十分な飼料を得られず、居住地に近い湖の島の牧草を求めてそこへ羊たちを冬の間だけ移動し、定住させようと試みた。船がなくてどうやって羊たちを島へ届けようとするのか、首を傾げていたところ、冬になると気温は零下15℃に下がり島と陸地の浅瀬は氷結する。その氷上に砂と灰を敷き連ねて僅かな時を選んで、村民挙って手伝いながら2千頭の羊を島へ連れて行こうという計画なのだ。氷の上を普通に歩ける羊は好いが、どうしても滑って転倒を繰り返してばかりいる羊もいる。中には妊娠中のメスもいて、流産する恐れがあるとしてその羊を背に担いで島へ渡った。村落の周辺にはほとんど草がないが、島にはたっぷり草が生えており、羊たちは飼い主の男と手伝いの若者が、島で生活しながら毎日羊たちを見守っている。羊たちはそこでのびのび一冬過ごし、雪解けの季節に再び村人の手伝いを得て、2千頭の羊ともども村落へ帰ってくる。今どきこのような厳しい大自然と向かい合いながら動物とともに生活を送っているとは、村人にとって原始的で生活感を感じる日常だと思う。そこには厳しい自然を生き抜くための知恵と試練が蓄えられている。

 チベットと言えば、訪れたのは、今から17年前の11月だった。ラサ滞在中に私にとって最高標高のカムパ峠(標高4,749m)を訪れたが、全般的に空気が薄く、血圧も上がり気味である。寒くはあったが、気温が零下以下に下がるほどのことはまだなかった。ラサ周辺は外国人観光客の姿も多く見られ、市街には格別貧困層の人びとが目立つことはなかったが、ここからサイ村までは更に1,400mも登り、植物もまったく姿が見られないかなり荒廃の地であり、そこで夏にも霰が降るほどの気候の激しい地域で生活していくのは大変だということが、このテレビ番組で改めて分かった。良い番組だった。感銘を深くしている。

 さて、このところ戦争をはじめとして物騒な事件が相次いで起きている。パレスチナ・ガザ地区の戦闘に至っては、イスラエルの理由なき攻撃の様相を帯び、とにかく攻撃して徹底的に壊滅する考えのようだ。このところ連日ガザ地区の学校や病院を痛めつけ、大量の犠牲者を生んでいる。いつ来るか分からない平和な時代になったら、イスラエルの人びとは世界中から何と呼ばれるだろう。ウクライナも連日ロシア軍の攻撃を受け、悲惨な目に遭っているが、そのロシア軍兵士も正規軍の他には主に周辺の共和国の犯罪者に、収監か、前線かと迫り戦闘員として最前線へ追いやり犠牲者としているようだ。イギリス国防省の発表によれば、直近2か月でロシア軍戦死者の数は、7万人を超えたそうだ。ロシアも退くに退けなくなり、いずれ反戦運動が表面化することだろう。

 そこへ驚いたことに、共和党大会を直前に壇上で講演していたアメリカ大統領候補者のトランプ前大統領が、突然銃砲で狙撃され、けがを負いSPによって病院へ運ばれた。その生々しい映像がテレビで映し出されたが、耳周辺から出血している姿が見られた。一方のバイデン大統領が、民主党内で選挙戦辞退の圧力が少しずつ強まってくるのをどうやって切り抜けるのだろうか。今年の大統領選は、稀に見る異様な選挙戦となりそうだ。

2024年7月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com