昨日主要7か国首脳会議、及びウクライナ平和サミットから帰国したばかりの岸田文雄首相が、否応なく知らされたのは昨日発表されたばかりの朝日新聞による世論調査による自らの内閣支持率の結果である。それによると内閣支持率は、政権発足以後最低の19.1%にまで下落した。近年最も支持率が低くなったのは、2009年麻生太郎政権末期の20%で、今回の19.1%はそれをさらに下回り、今21世紀に入って最低の支持率だという。当然ながら本人は精一杯務めているつもりだろうが、いつも論点がずれ的外れで、最も重要な点が欠け落ちていることである。
一言で言って、国民に疑問を抱かれている裏金の処理に関してまったく疑問に応えていないことが国民の信頼感を失っている。すべての国会議員が法令に則り、給与に、635万円の賞与を受け取っていながら、他に毎月百万円の文書通信交通滞在費や、65万円の立法事務費、公設秘書の給与など、年に7千5百万円もの待遇を受けている。そこへ今問題となっている政策活動費とやらがある。これが本来の主旨とは異なり、党の実力者の判断で党員にばらまかれ、大物二階元幹事長や、茂木幹事長らは手元に大量に貯めて、本来の目的にはほとんど使われていないようだ。元々不明朗な給付でもあったことから、潔癖な共産党だけは受け取りを拒否したくらいである。今この政策活動費の支出につき、野党から報告義務、領収証の公開などが求められているが、これに応じる様子は見られない。況してや領収証の公開などについては、10年後などと想像もつかないような悪どい逃げ道を遁走しようとしている。
そもそもこれまでに明かされた裏金は不労所得であり、まるまる全額課税の対象になるべきであるが、国会議員どもはこれらの指摘に応じようとしない。国民には細かいまでに税金を課していながら、自分らは脱税行為を続けているのである。これでは、とても国民の理解は得られようもなく、いくら話し合いを続けても解決の道が開ける筈がない。岸田首相の弁舌も頼りないこと夥しい。
いくら野党が鋭く追及しても、あの手この手で逃げようというのが自民党の腹である。もうこうなったら、思い切りこれを機に国会議員の数を半減してはどうだろうか。メディアの追及の視点もそちらへ少し目を移した方が良いように思う。
さて、アメリカの大統領選も4か月余りに迫ってきた。この選挙も過去には考えられないほど次元の低い選挙になっている。普通の良識的なアメリカ国民は愛想をつかし、2人の現、前大統領の猿芝居に振り回されているようだ。14日に78歳の誕生日を迎えたトランプ氏と現在82歳のバイデン大統領は、ともに高齢化を懸念されている。更に問題は、2人がいずれも過去の大統領にはなかった、法的なお仕置きを受けていることである。大統領は、次男が違法な薬物を使用して虚偽の申告により銃を不法に購入して有罪の評決を受けた。大統領の家族が有罪評決を受けたのは初めてである。一方のトランプ氏は、不倫の口止め料をめぐって有罪の評決を受けた。
世界のトップ・リーダーになろうとする者が、こんな不祥事に時間を奪われるのはあまりにも不道徳であり、恥ずべきことであり時間の無駄でもある。
今月27日にジョージア州アトランタで2人の対面によって行われる初めてのテレビ討論では、4年前のトラブルに懲りたテレビ局が、相手候補の発言中はマイクの音を切ると発表した。しかも会場に観客を入れずに、司会者とバイデン大統領、トランプ候補者の3人だけに絞り、事前に用意したメモも持ち込めず、休憩時間には陣営のスタッフとも接触することが出来ないという異例の厳しい処置に踏み切った。どんなテレビ討論になるか、別の意味で興味深い。
日本の政治も、アメリカの大統領選も随分格落ちしたものである。
ところで、まったく政治とはかけ離れた話だが、午前中にネットを探索していたところ、こんな低俗なネット情報があった。「Cap Cut」というテンプレート上に「桑田佳祐死亡速報ニュースめざましテレビ」と衝撃的なキャッチフレーズを観て、本当だろうか? と首をひねった。先日NHKで彼のショーを観たばかりである。あの人気歌手が亡くなったらメディアで大々的に取り上げるだろう。ところが、他のニュースなどをいくら観てもこのホット・ニュースは見られない。このテンプレートはユーザーが21万人もいるとか、「今すぐウエブ上で動画を作成してエクスポートしてください。簡単です」などと、桑田佳祐に迷惑と侮辱を与えていることなど眼中になく、自社のPRに夢中で周囲がまったく見えないようだ。
ところが、午後になって「Cap Cut」を改めて検索してみたら、桑田佳祐に関する文言は跡形もなく消えていた。他社のテンプレート上にCap Cutは、TikTokと同じくByteDanceという中国資本の企業によって運営されていると紹介され、「Cap Cutの危険性について解説!」との警告的な記事が、昨年辺りから出回っているようだ。先日も池上彰氏やZOZO創業者の前澤友作氏らがフェイク情報を流されるとして情報発信元を訴えるなど穏やかならぬニュースがあったばかりである。嫌な時代になったものだ。