6125.2024年5月29日(水) パレスチナ・ガザ地区とミヤンマーの厳しい現状

 一昨日イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区ラファを空爆し、避難民の間で少なくとも45名もの死者を出したが、犠牲になったのは、ほとんど女性と幼い子どもだったという。エジプトを介した停戦交渉が進められ、国際司法裁判所(ICJ)もラファでの軍事作戦の即時停止を呼び掛けた直後の攻撃に対して、各国から非難の声が上がっている。イスラエルのネタニヤフ首相は、「民間人の犠牲について悲劇的な過ちがあった」と弁解らしく述べる一方で、「戦闘を終わらせることはない」と相も変わらず強気の姿勢である。イスラエルの支援国アメリカは、民間人の犠牲を出さないようあらゆる手段が講じられなければならないと、攻撃事態を非難することもなく、単に冷ややかなコメントを述べたに過ぎない。一方、フランスのマクロン大統領は、激しい憤りを感じて、このような作戦は止めるべきだと抗議した。その卑劣な攻撃に強い抗議を示すように、アイルランド、スペイン、ノルウェー3か国は、パレスチナを独立国として承認すると表明した。これで、国連加盟国193か国の内、146か国がパレスチナを独立国家として承認したことになる。しかしながら、対米従属国に成り下がった日本は、アメリカに忖度してパレスチナを承認していない。アラブ諸国の間で対日観が変わると同時に、対日感情が悪化することが懸念される。

 さて、ウクライナとパレスチナの戦闘が大きく報じられる一方で、メディアの話題に上がることが少なくなったミヤンマーでは、2021年2月国軍による軍事クーデターにより、民主派政権が追放崩壊させられた。爾来権力を握った国軍の強制的な政権運営に対して、最近少数民族武装勢力が対抗し、国内では内戦状態の模様である。戦力の減少に悩んだ国軍は、ミヤンマー国内で孤立させられているイスラム勢力ロヒンギャから若者を徴兵し、戦わせているが、その煽りを食ったロヒンギャが今国軍と少数民族の衝突の板挟みに苦悩している。ミヤンマー国内では、不法移民と目され、市民権が与えられていないロヒンギャには、頼るところがなく、生活困窮のために止むを得ず、国軍に入隊している兵士がかなりいる。これについても国連難民高等弁務官事務所が、24日「暴力の即時停止と区別のない市民の保護を求める」と要求し、これにはアメリカもEUなどと残虐行為に説明責任が果たされなければならないと共同声明を発表した。パレスチナとミヤンマーでは、アメリカの言動が不一致なのが、身勝手なアメリカらしい。
 人間の行う残虐行為の収まりがつかない中で、自然災害による天災も起きている。日本でも正月の能登半島地震、最近の天候による風水害である。そして海外でも自然界の攻撃は容赦ない。

 南太平洋のパプア・ニューギニアで去る24日未明に大規模な地滑りが起き、670人以上が犠牲になり、2千人以上の人びとが生き埋めになったままだという。ここの山岳地帯では、今年2月下旬に民族間の紛争があり、26人以上が死亡したと言われたばかりである。地滑りによる被災者は、まだ増え続けるようだ。

 半世紀近く前に戦跡調査のためパプア・ニューギニアを訪れ、同国のニュー・ブリテン島ラバウルばかりでなく、ソロモン諸島のガダルカナル島やブーゲンビル島を回り住民と親しく交流したので、素朴な現地の人びとが不安な生活を送っているのではないかと考えると、気がかりである。現地では多くの民族が混在しているが、表面上は対立を感じることはなかった。だが、そこには外からは分からない民族間の長い対立と葛藤の歴史があるのだろう。当面地滑りによる災害を最小限に抑えられるよう望んで止まない。

2024年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com