6119.2024年5月23日(木) 2人の先輩のお祝いと訃報

 今日は中野区野方区民ホールで開かれた旅行会社時代の先輩の尺八演奏会を鑑賞してきた。先輩は尺八の趣味が高じて23年間務めた会社を退職してプロの尺八演奏者になり、今ではみずから尺八丈清会という尺八の会の総帥として、「竹帥大師範」を名乗り尺八の教授を務めておられる。単にモノ好きが高じて尺八の道へ進んだのではなく、優れた才能があったのだろう。息子さんも尺八にはまり、今日もステージで一緒に演奏していた。しかも、今日は先輩が90歳になった卒寿の記念演奏会でもあった。尺八の音色は確かにきれいで心地よく、黙って聴いているだけでもうっとりする。そこには三味線やお箏との合奏もあり、きれいな和服を着た女性がそれらを奏でて中々艶っぽくロマンチックでもある。後半の3時間ほどを、先輩の尺八独奏や合奏で充分楽しむことが出来た。

 ところが、帰宅してみると同じ会社の別の先輩が亡くなったとの悲しい訃報が届き、衝撃を受けた。享年91歳だった。4月に亡くなられたとのご子息からのお知らせである。こちらの先輩には、在職中随分お世話になった。特に、英語活用面で教えてもらうことが多かった。公認の英語通訳の資格を所持していて、途中入社された先輩である。とにかく驚くべき経歴は、学習院でヴァイニング夫人に英語の指導を受けたということだった。ヴァイニング夫人と言えば、上皇の皇太子時代に英語の家庭教師でもあった方である。先輩の英語は、アメリカ仕込みで磨かれ傑出していて業務上随分助けてもらった。率直に気持ちを表されるお人柄で、私にとっても英語上達上の師と言える人だった。社内の英語教育のために、教育経験の深いオクラホマ市出身の在日アメリカ人を紹介してくれ、そのアメリカ人教師には私もお亡くなりになるまで長くご指導とご厚誼をいただいた。

 先輩には、日ごろから英語上達のための社員教育を考えてもらい、私自身は特別にお付き合いの独特のやり方をしてもらった。ある時から、会社内でも会社の外でも、日常会話をお互いに英語でやろうということに決めて、この先輩とは、先輩が退職されるまでどこへ出かけても英語で話しをしていたくらい、強い影響を受けた。

 先輩は有機農業や、自然食品にかなり関心を抱いておられ、1975年6月にアメリカのテキサス州アトランタ(ジョージア州ではない)で開催されたアメリカ自然食品協会全国大会が開かれた時に、会員だった先輩に招待状が届いた。しかし、先輩の都合がつかなくなり私が代わりに出席するよう依頼され、日本人でただひとり全米大会に出席する幸運に恵まれた。その訪問記は、日本の有機農業研究会発行の月刊誌「たべものと健康」8月号(75年8月1日発行)に寄稿する光栄に浴したこともある。

 今思い出して強く悔やまれるのは、しばらくぶりで会食しようと話し合った直後からコロナ禍が激しくなり、そのまま会うことがなかった。先日別の同僚とともに先輩に会おうということで一両日中に連絡しようと思っていた矢先に、すでに冥界へ旅立たれていたのだ。残念でならない。ご冥福をお祈りするばかりである。

2024年5月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com