6115.2024年5月19日(日) 政治家は軽薄な発言を慎め!

 4月に静岡県の川勝平太・前知事が失言したことから知事を辞任し、今月26日に6人の候補者の間で県知事選が行われることになった。そこへ昨日自民党の推薦を受けた候補者を支援する女性支援者が多い中で、応援演説を行った静岡県出身の上川陽子外相のジェンダー平等に反するような演説内容が、物議を醸した。上川外相については、しばしば軽薄な発言をする麻生太郎・自民党副総裁が、美人ではないけど優秀だといって問題になったことがある。

 最初に記事を読んだだけでは、私にもどこが問題なのかよく分からなかった。新聞には、「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と話したと書かれている。これをこの候補者を自分ら女性が国会へ送り出さなくて女性として何が出来るのか、というような意味で受け取っていた。ところが、「うまず」という言葉が「産まず」という意味で話したようだと受け取られたと知り、これは問題発言と捉えられても仕方がないと思っている。これでは子どもを産まなくては女性ではないと主張しているように受け取られる。上川外相の真意については、語られていなかったが、本当に「産む」という意味で発言したとするなら、「有象無象」を正しく読めず、インテリジェンスが感じられない麻生副総裁とは違い、インテリ大臣である上川外相としては、軽率だったと思われてもやむを得ないだろう。

 ところが、発言してまだあまり時間が経っていない今日午前中に、外相は発言を撤回すると発表した。「私の真意と違う形で受け止められる可能性があると指摘された」ことから、外相もその可能性を懸念して誤解されることを避けようと発言を取り消したのだ。外相は、自身発言の趣旨を「女性パワーを発揮していただき、知事を誕生させようとの意味で申し上げた」と弁明した。

 しかし、今回の外相に限らず一般的に政治家の発言はあまり周囲の空気を理解したうえで発言するのではなく、思い付きで軽く発言する傾向がある。その点は人間的にもどうかと思う発言がしばしば見られる。重い責任を背負っている立場の人間は、それなりによく考えたうえで発言すべきであると改めて思った、今回の上川外相も軽々しい発言である。

 さて、隔月刊のNPO紙に「世界遺産物語」と題して、毎号これまでに訪れた世界遺産について拙稿を書いているが、20年近く前に訪れたことがあるインドの世界文化遺産について珍しいことをネットで知った。それは首都ニューデリーにある「クトゥブ・ミナールとその建造物」である。ここにある歴史的記念碑とイスラム・モスクは印象に残っているが、記念碑の前に立っている高さ7m余の鉄柱については記憶になかった。印象には残っていないが大変珍しいものだそうで、その鉄柱がインドの猛暑や汚染などの厳しい環境の中で、長い年月にも拘らずほとんど劣化せず、5世紀の建造当時と同じような原形を保っているのだそうだ。確かに鉄が錆びずに1,600年間も原形をとどめているのは稀だと思う。鉄が長い間劣化しないで維持されたのは、エッフェル塔のように何層もの特殊塗料で保護されているかららしい。しかし、このクトゥブ・ミナールの鉄柱は、1,600年も前に鉄を加熱して叩く鍛接と呼ばれる、特別な技法による錬鉄で出来たから劣化しないのだという。こういう知識は、この地を訪れた時は知らなかったので、あまり注意して見ることはなかった。この鉄柱が錬鉄で製作されたということが分かったのは、2003年だった。その数年後に訪れたのだが、ガイドさんはここまでは話してくれなかった。何だか残念な気がする。

2024年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com