6113.2024年5月17日(金) 選挙における言論・表現の自由の問題点

 昨日ブログに書いた広島県の1市長が7月に行われる東京都知事選に立候補を表明したことは、今日の朝刊にも取り上げられていた。出馬を表明したのは、広島県の石丸伸二・安芸高田市長である。ネットにも良しにつけ悪しきにつけ随分取り上げられている。この問題の前に関心が向いたのは、「市」という自治体についてである。市についてはある程度学んだのは、中高生当時だったが、市としての存立条件は、最低限人口3万人以上ということだった。それが、今では市町村合併、離合などの条件付きなら3万人以上であるが、通常は人口5万人が市を構成する最低条件と言われている。だが、この安芸高田市は現在2万6千人しか住んでいない。

 そしてもうひとつ疑念を抱いたのは、昨日のブログにも触れたが、自治体の首長選に立候補できるのは、その自治体に3か月以上以前から居住していることが条件である。さすれば、石丸市長は7月7日の都知事選投票日の3か月前に東京都内に住民票を移している筈である。そうすると、もうひとつ別の疑問が生まれる。昨日時点で市長は東京都民でなければならないが、そうだとすれば、市長任期中に安芸高田市民ではなくなり、これは信頼して市長に選んでくれた安芸高田市民を裏切ることにならないだろうかという懸念である。

 石丸市長については、ネットの声も姦しい。4年前に自民党の河井克行元法相による買収事件の際、前市長が収賄容疑で辞職した市長選において初当選したのだが、当時37歳の銀行員で清新な印象を与えた。だが、市議会議場で居眠りした議員に恥を知れと批判したり、ネットにいろいろ投稿して、一部では批判もあった。物事をはっきり述べたことが評価される反面、逆に対立を生んで功罪相半ばであるようだ。都知事選がどういうことになるのか現時点では不明だが、カイロ大学卒業という学歴詐称を抱えた小池知事が、どういう形で選挙に臨むのか、これも現状では不透明である。

 選挙と言えば、先日行われた3つの衆議院補欠選挙で、東京15区は自民党から誰も出馬せず、結局当選した立憲民主党の酒井菜摘氏、及び小池都知事の支援を得てかなり下馬評では有利と見られた乙武洋匡氏ら、ほとんどの立候補者に対して、露骨な妨害行為により公職選挙法違反で、「つばさの党」代表者と立候補した幹事長、運動員ら3人が逮捕された。テレビで選挙中の映像を観た限りでもあまりにもやり過ぎではないかと思っていた。つばさの党は、言論、及び表現の自由ということをしきりに述べているが、候補者の選挙演説を妨害するような大音量を拡声器から出して、候補者は話が出来ない状態にし、別の場所で選挙演説を行うべく車を移動させるとその後を追いかけて大きな音の音響で嫌がらせをしていた。これをつばさの党は、憲法上許された行為と言って反論していた。

 その呆れたつばさの党の言い分の根拠には、2019年参議院選挙の際北海道で、自民党候補者を当時の安倍元首相が応援演説した際、ヤジを飛ばした男女を警察が排除した案件があった。これが、表現の自由に抵触する行為であると裁判で主張し、現在控訴審まで進んでいる。だが、このヤジも酷いが、これは政治的な発言に対して聴衆がヤジを飛ばしたという事件で、拡声器を使用して候補者を追っかけ回すつばさの党の悪質な選挙妨害とは大分異なる。

 一般論として言えば、何でもやりたいこと、言いたいことをやってみるという傾向には良識が欠け、世の中の落ち着きのなさ、冷静さが失われてきたようで、寂しい気がしている。

2024年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com