6038.2024年3月3日(日) ウクライナをネオ・ナチと考えるプーチン大統領

 イスラエルのネタニヤフ首相が、イスラム原理主義組織ハマスを殲滅させるまでパレスチナ・ガザ地区への攻撃を止めないと強弁しているのと同じように、ロシアのプーチン大統領もウクライナのネオ・ナチを排除するまで戦うと述べている。しかし、ウクライナより以上にネオ・ナチ的行動に走るのは、むしろプーチン大統領自身ではないかと自らのナチズムを隠蔽するかのような発言が気になっている。その点については、再三本ブログでプーチンこそナチズムだと批判してきた。

 そこへJBpressが今日配信したネットを見ると、プーチン大統領がアメリカの保守系FOXニュースの取材に応じて、ウクライナ・ナチズム論を述べている。それは、2年前のウクライナ侵攻に際して最大の目標は、ナチズムの信奉者ステパン・バンデラがウクライナで国民的ヒーローにされていることから、偶像破壊及びネオ・ナチ壊滅をすべきと考えている。

 バンデラは第2次世界大戦前のソ連占領下のウクライナ独立運動の闘士だった。ウクライナ民族主義者組織(OUN)というやや右翼的な団体に属し、反ユダヤ主義、反共産主義を掲げたことから確かにナチスとも連携していた。ウクライナには、ナチスに協力的だったバンデラらを英雄として、記念碑が建てられ、首都キーウにはバンデラの名を冠した通りもある。プーチン大統領は、ウクライナ民族主義者らがバンデラを崇敬し、その精神を継承しようとしていることに対して、プーチンはウクライナがネオ・ナチだと主張している。しかし、彼らは必ずしもナチズムではない。歴史的にバンデラらは、ナチス・ドイツと連携していた。だが、その占領政策が合わず、ナチスはバンデラらを捕らえ強制収容所に送ったほどである。むしろナチスから強要されたソ連共産主義との闘いを拒否している。このような経緯から現代のウクライナ民族主義者らも、ナチスの弾圧と戦った英雄としてバンデラを尊敬している。そこには多重的な原因があり、プーチンが一言の下に「ウクライナはナチズム」との主張は、ウクライナ・サイドからは大きな誤りと見られている。バンデラは、戦後ウクライナに戻れないまま、1959年ミュンヘンでソ連のKGB諜報員により暗殺された。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチンがウクライナにナチスがいるとの虚報に対して、すべてでっち上げでウクライナにナチスなどおらず、ナチス排除のための侵略の口実にしていると厳しく非難している。プーチンの主張は筋が通っておらず、ナチスの影響が第2次大戦中から両国間に諍いの種を撒いていたことが分かる。

 それにしても、自己主張の強いプーチンが言う「ナチスをウクライナから徹底的に排除する」との主張は、他の国々からどれほど理解され、納得されるか、疑問の残るところである。

 先日プーチン政権の批判を続けて、刑務所内で死亡した反体制派の指導者ナワリヌイ氏が埋葬されたモスクワ市内の墓地で、昨日多くの支持者らが訪れ花を手向けていた。治安当局は、政権批判の動きが広がることを警戒し、ロシア各地で100人以上の市民の身柄を拘束したという。プーチン大統領は、15日から行われる大統領選の勝利は固いだろうが、国内に反プーチンの動きが徐々に拡散していくことだろう。

2024年3月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com