6023.2024年2月17日(土) 反政権運動指導者・ナワリヌイ氏暗殺か?

 このところ独裁君主を彷彿させているロシアのプーチン大統領が、ついに殺人にまで手を染めたと考えられている。ロシアの反政権運動指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏が昨日拘留中の北極圏の刑務所で、散歩を終えた後突然体調を崩して死亡した。死因は不明と発表されたが、これまでの経緯を考えると信用し難く世界中であらぬ憶測を呼んでいる。

 ナワリヌイ氏は、2020年に国内で猛毒の神経剤を飲まされて重体に陥ったことから日本でも知られるようになった、ロシア国内でプーチン体制を厳しく非難していた反政権運動指導者である。死亡には当然プーチン大統領が背後で関わっていたと推察出来る。実際ナワリヌイ夫人は、プーチンがロシア国内で行ったすべての虐殺の責任を負うべきだとプーチン大統領を糾弾し、ノーベル平和賞受賞者でロシア独立紙のムラトフ編集長はプーチンの殺人と決めつけている。西欧の首脳でもマクロン・フランス大統領は、「ナワリヌイ氏の勇気、献身に敬意を捧げる。ロシアでは自由な精神は強制収容所に送られ、死刑を宣告される。怒りと憤りを覚える」とのコメントを述べた。シュルツ・ドイツ首相もロシアはもはや民主主義ではないと批判し、戦敵のゼレンスキー・ウクライナ大統領は、「何千人もの人々と同じように彼も殺された。プーチンは自分のしたことへの責任を問われなければならない」とプーチンを厳しく非難した。昨今存在感が薄くなったアメリカのバイデン大統領も、「今ウクライナで見られるように他国の市民を標的にするだけでなく、自国民にもひどい罪を犯している。間違いなく死の責任はプーチンにある」と断言した。来る24日にはウクライナ侵攻2年になる。国内外に世界中から非難される問題を抱えて、プーチン大統領はいつまでこの泥沼戦略を続けていくつもりなのだろうか。

 来月17日には、ロシア大統領選が行われる。大統領職に執着しているプーチン大統領は当然5選を考えている。長期政権に対する国民の批判を和らげ、盤石の体制基盤を確立するためにも、ここで圧勝したい。政権批判の反体制勢力に対しては、容赦せず徹底的に排除したいと考えている。その頂点にいたナワリヌイ氏を先ずは闇に葬ったのだ。モスクワ市内では厳しい警戒の中で、多くの市民が自発的にナワリヌイ氏の霊に献花している。プーチンは国外では四面楚歌の状態であるが、国内でも少しずつ批判票が増えつつあるようだ。これから国際的なプーチン非難の波がクレムリンに押し寄せることだろう。

 さて、太平洋戦争戦没者の遺骨収集が近年捗々しく進まないようだ。終戦から79年が経過してご遺族の高齢化と減少、コロナ禍、また国民の間でも戦争自体の印象が薄らいでいく傾向が表れてきている。今年度の国による遺骨の収集は、過去2番目に少なかった。個人的にも旧厚生省主催だったこの事業に、ほぼ半世紀前から約20年間に亘って携わり、日本遺族会のスタッフだった水落敏栄・現日本遺族会会長とも一緒に度々遺骨収集作業に立ち会うことが出来た。その時の気持ちは、戦友会や遺族会の戦跡慰霊巡拝団に参加した時と同じである。関係者から厳しかった昔の戦地の様子を生々しく聞かされて戦時を想像すると、ついご遺族の胸の内にもお悔やみと同情の気持ちが生まれたものである。

 その遺骨収集事業が今曲がり角に差し掛かっているようである。かかる費用に対して収骨の割合が少ないことである。実際新年度予算には、過去最高額の33億4千万円を計上した。だが、こればかりは対費用効果で考えるべき事象ではないと思う。極端な高額費用なら別だが、如何に費用がかかろうとも国によって戦地で戦わされ、挙句に命を落として外国の地で成仏出来なくなった戦没者をこのまま放ったままで良いものだろうか。

2024年2月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com