6022.2024年2月16日(金) 日本の経済力は劣化したのか?

 日本企業の業績が好調で今年度の国際収支が黒字になった、と日本経済の好景気について一昨日の本ブログに書いた。それは、コロナ禍からの回復で消費や輸出が伸び、物価高もあって日本の2023年名目国民総生産(GDP)は過去最高となり、物価の影響を除いた実質GDPも1.9%増えて、ともに3年連続プラス成長になったからである。それは同時に、アメリカの株式市場の上昇につれて日本の株式市場も好調で、日経平均株価も一昨日にはあと千円も値上がりすれば、史上最高値を更新するところまで上がったくらいである。
 ところが、昨日内閣府が公表した国民総生産(GDP)で日本がドイツに追い越され、3位から4位に転落したニュースがメディアで派手に伝えられた。日本のGDPが4兆2千億㌦であるのに対して、ドイツは4兆4千億㌦である。しかもドイツの人口は日本の約2/3である。実質的な経済力はすでにドイツに負けていた。ニュースでは、日本企業の好調ぶりにはほとんど触れずに、ドイツに追い抜かれた原因を2つ挙げている。ひとつは所得が伸びずに個人消費が停滞した長年のデフレと、もうひとつ円安の影響が大きいことを挙げている。23年の平均為替レートは、1㌦=140.5円で、22年の平均より9円も安くなっている。これが大分効いている。

 ついては日本の未来について悲観的な見解を抱いているジム・ロジャーズ氏という世界3大投資家がいる。彼は今後10年間に「沈む国」として日本をリストアップしている。その大きな理由は、「人口減少」と「少子高齢化」だと言う。日本の65歳以上の割合である高齢化率は、2023年に29.1%となり、過去最高で世界一である。3人にひとりが高齢者となりつつある。このまま日本の人口が減り続けるなら、将来的に日本語という言語も消え、少なくなった日本人は中国語を話すことになるとまで極論を述べている人物である。もうひとつ大きな原因として、日本の借金大国が懸念されると指摘している。人口が減り続け、借金が増え続ける国は衰退すると厳しい目で見ている。その暗い将来に向けて豊かさを取り戻すために、日本人だけの力だけで応えることが出来ないなら、外国人に対して閉鎖的な国民性を改めて移民の受け入れを検討すべきだと提言している。更に日本で将来性のある産業のひとつは観光だと強調している。特に外国人観光客をターゲットにインバウンド業を積極的に推進すべきだと推薦している。

 私自身旅行会社で働いていたが、今から40年ほど前に若干インバウンドに力を注いでいたこともあり、箱根への外国人向きパッケージツアーを開発・企画して、おこがましいが、AMEX誌に取り上げられ大変評価されたことがある。今でも若干手直しすれば、販売できるユニークなパッケージツアーだ。当時はまだインバウンド客が少なく、残念ながら販売は伸びなかったが、少し世間の流れより先行していたせいかなという自負の気持ちはある。

 いずれにせよ日本の将来、就中経済については外国人専門家からも厳しい目で見られていることは事実である。ロジャーズ氏からアドバイスされた提案や問題を軽視することなく、少子化対策や、移民受け入れ、及び財政赤字については、日本政府ももっと真剣に具体的な解決策や対応について前向きに検討を進めるべきだと思う。

2024年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com