6007.2024年2月1日(木) 増える「読書時間ゼロ」の若者たち

 元旦に能登半島地震が発生して今日でちょうど1か月となった。地震に津波、火災に遭い石川県全県が大きな被害を被った。地元民は少しずつ震災の後片付けをしているが、災害の復興にどれほど時間がかかるか絶望的な気持ちの人たちも多い。今日も相変わらず余震が続き、気象庁では今後2~3週間は最大震度5弱以上の地震の恐れもあると警報を鳴らしている。

 そして、海外でも今日ミャンマーで軍部がクーデターを起こして民主派政権を倒してちょうど3年となった。昨年秋以降国内各地へ国軍と少数民族武装勢力の衝突が拡散し、治安が悪化している。政情不安により経済は低迷し、人権状況も悪化している。昨日で非常事態宣言は期限を迎えたが、国軍は更に半年間延長する。従って宣言解除から6か月以内に総選挙を実施することが憲法で決められているが、その期待も空しいものになる。半世紀以上も前に現地で知り合い健康だったミヤンマーの友人たちは今どうしているだろう。

 3年前ミヤンマーの軍事クーデターに対して国際社会より軍指導部は厳しく非難されたが、間もなくロシア軍のウクライナ侵攻が始まり、国際社会の目はウクライナへ向き、そして世界の目は今パレスチナへ向けられている。

 国際社会の大きな衝突の流れに対して、日本国内では自民党の裏金問題が党内に幅広く広がり、連日国会を含めて政界は非生産的な存在となっている。日本の政治のシステムと議員の質とレベルが大分劣化している。困ったものである。

 そんな時にかねがね気になっていた若者の読書ばなれについて「選択」2月号の「増え続ける『読書時間ゼロ』の若者」なる記事が興味を惹いた。近年若者が本を読まない傾向にあるということは承知していたが、東大社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で実施した調査によると、「1日の読書時間がゼロ」の小中高生が49%もいる。少年らのほぼ半数が、1日中1頁たりとも本を読まないなんてとても考えられない。受験勉強に時間を取られる高校3年生になると69.8%になるというから、高3生10人の内7人が本を読まないという。総務省の調査では、インターネットには195分、テレビは46分も噛り付いているそうだから、1日4時間もインターネットとテレビに夢中になりながらも本は読まないのである。この読書敬遠傾向により若者が論理的思考力を身に着ける機会を失い、ビジネスの現場でも文章による指示や状況説明の理解力が低い若年層が増えていると考えられている。

 私自身の経験上からももし少年時代から本を読まなかったら、その後世界へ出かけてもあまり事象を深く突っ込んで見るようなこともなく、おざなりに表面的な情景しか見ようとしなかったのではないかと思う。例えば、「モンテ・クリスト伯」を読んだ後に、マルセイユの街を歩くと街の姿や、作家デュマが描こうとした時代背景がよく分かるし、トルストイの「復活」を読んでからシベリア鉄道に乗って車窓から外を見ているとカチューシャを追っていくネフリュードフ公爵の姿がイメージとして浮かんでくる。若いころに出来るだけ本を読みこんだか否かにょって、かなり知性に差が出ると思う。やはり読書から遠のくのは、社会現象もあるが、家庭の教育が大きいという。実際本をまったく読まないようでは、人生が面白くないし、極端に言って生きていてもしようがないと思う。

2024年2月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com