国連の藩基文・事務総長が26日にソウルで反日的な発言をして内外に波紋を呼んでいる。安倍政権の歴史認識問題や領土問題について「正しい歴史認識を持ってこそ、他の国々から尊敬と信頼を受けられる」と批判めいた発言をしたり、さらに日本国内の改憲論議にも触れ「日本政府と政治指導者は自らを顧みて、国際的な未来を見通すビジョンを持つことが必要」と内政に干渉するような発言までしているのである。
藩事務総長の考え方を絶対許せないと反対しているわけではない。韓国人なら歴史問題で日本に対して言いたいことがあることは理解できる。ただ、国連事務総長という立場上、国境、国籍を超えてあくまで中立でなければ、自国へのエコヒイキになって客観的な判断を下すことができなくなり、その職に留まり続けることは問題である。その辺を藩氏は何を考えて血迷ったのか。絶対に中立であるべき国連の最高権威者が自国に有利な発言をしたのは、母国における記者会見でつい気が緩み口を滑らせたと思いたい。それにしても、こんな軽薄な発言をする人によく国連総長が務まると思う。案の定藩基文・事務総長が就任以来、国連が抱える難問は何ひとつ解決されていない。
国連憲章第100条に、「国連総長、及び職員は、この機構(国連)に対してのみ責任を負う国際的職員としての地位を損ずるいかなる行動も慎まなければならない」と書かれている。この藩総長には、自らの職位が中立でなければならないとの認識はあるのだろうか。
就任以来これという目立った実績に乏しい藩氏には焦りがあったのだろうか。これまでにもとかくの噂はあった。特に顰蹙を買っていたのは、国連の主要ポストに自国の韓国人を優先的に採用した縁故主義である。また、ある年の「国連の日」に行った事務総長主催のコンサートにソウル・フィルを招き、英文パンフレットに「日本海」と書かずに、韓国が一方的に主張する「東海」と書き込まれてもそ知らぬ顔をしていた。
国連事務総長就任前には韓国の対外交渉を行っていた外交通商相として政界の要職にあった人の発言にしてはあまりにもお粗末で、多分この御仁は外相というより内相を務めた方が能力を発揮できるのではないかと思う。現職はとても身に余るということであろう。
今日オランダ・ハーグで藩事務総長は松山政司・外務副大臣に対して、ソウルでの発言内容は中立的な発言で日本についてのみ指摘したものではないと言い訳がましく釈明した。とても納得できるものではないが、菅義偉・官房長官は発言の真意は明らかになったと大人の対応を見せ幕引きをすることにした。
それにしても、藩事務総長の発言直後に、これを評価した中国はこの発言の中立性をどう捉えているのだろうか。中立性に欠けると見られた時点で、それを佳しとしたことは、中国政府は事務総長が中立性を損なう発言を是認したということを意味してやいまいか。
できることなら中立性を欠いた中国の反日的な言い分も聞いてみたいものだ。