5992.2024年1月17日(水) 阪神大震災で想い出すブラジル人の友人

 29年前の今日早朝阪神・淡路大震災が起きた。その朝突然息子が寝ていた私の枕元に受話器を持ってきて、英語の電話だよと言った。ともかく何が何やら分からないまま受話器を耳に当てると、聞き覚えのある声で、今日本で大きな地震があったと知ったが、貴方の家族や友人に被害に遭った人はいないか心配になって電話をかけたと言った。ちょうど地球の反対側ブラジルの友人、アリンド・フルタードさんからだった。特に地震に遭ったような知り合いはいないと応えるとすぐ電話は切られた。これほど離れていても親しい人の安否が気がかりなのは、アリンドさんの思いやりのあるお人柄である。彼との出会いは、エジプトで夜のピラミッド近くで‘SOUND & LIGHT’というショーを見た時、偶々彼と隣り合わせになったのがそもそもの縁となった。その後日本に来られて、一緒に「はとバス」で日光へ行ったり、私の車で箱根を案内してそのまま我が家にも来てもらったりもした。私もブラジルへ行った時、彼にリオ市内を随分案内してもらった。長い間お互いに手紙によるやり取りがあった。この辺りの経緯については、近著「八十冒険爺の言いたい放題」の中で1章を割いたほど心を寄せた友人だった。その彼も今では帰らぬ人となってしまった。私にとっては阪神・淡路大震災の直後に淡路島に行って、地殻変動の現場を訪れた時の印象が頭に残っているが、それとは別に地震と言えば、つい懐かしい異国の友人アリンドさんのことを想い出してしまう。

 さて、15日にアメリカのアイオワ州で11月の大統領選に向けた共和党党員集会が開かれ、トランプ前大統領が過半数を獲得して他の候補者を圧倒した。大統領時代晩年には、やることなすこと身勝手な言動を駆使して、国際的にも一部で相当顰蹙を買っていたが、前回の大統領選では結果として民主党候補者だったバイデン現大統領に敗れた。その時点から言いがかりばかりつけては、わがままし放題のパフォーマンスには、アメリカ人にしては稀に見る利己主義者で他人の迷惑を考えない人との印象が強く、こういう人間が選挙に負けたことにその時は喝采を叫んだものである。

 そういう人物がどうして今以てアメリカ人のほぼ半数の支持を得られるのか、どうしても納得が行かなかった。大統領選で敗れたことに、ケチをつけ、バイデン側に不正があったと喚き出し、裁判沙汰にまでなっている。その後明かされた不祥事も一つや二つではない。昨年だけで4回も刑事訴追されている。今年3月以降にすでに起訴された事件での公判で被告として裁かれる立場にあり、仮にこのまま共和党大統領候補者に指名されれば、11月の選挙前に有罪判決が出される可能性が高い。こういう人物が仮に大統領に再選されるような事態になれば、アメリカ人の良識が損なわれることになる。特に誰もが驚いたのは、2021年1月に起きた1千名近いトランプ支持者による連邦議会議事堂に不法侵入した事件で、その背後にトランプ前大統領が操っていたと言われている。

 民主党にはバイデン氏に対抗できる候補者が見つからないようで、このままだと前回同様にバイデン対トランプの再選になる。バイデン氏もその実績は、あまり目立ったものがなく、やや年齢なりにあまりバイタリティを感じさせないが、個人的にはここはトランプ氏には大統領になってもらいたくない。いくら銃乱射による殺人事件が起きても、銃砲所持を制限せず憲法で認めるなど、国際的にも首を傾げる「民主主義」を体現しているとされるアメリカ社会には、あまりにも非民主主義的なパフォーマンスが目立つ。トランプ氏が大統領に復帰すれば、その流れは益々「非民主主義国家アメリカ」を際立たせる。

 ところで、4月1日から日本航空の新しい社長に、客室乗務員出の鳥取三津子氏が就任するとのニュースが入った。日航と言えば、日本を代表する企業でもあり、これまでの社長は皆それぞれにそれまでの経歴を買われた優秀な男性ばかりだった。ところが、彼女は日航入社ではなく、吸収された東亜国内航空に入社したそうだから、完全にエリート路線からは外れていたわけだ。それが、初めての女性社長登用で、現場の叩き上げと言っても好いエア・ホステス出身というから今後も話題を呼ぶことだろう。ただ、従来は日航が社長にまでこのような抜擢人事を行うとはとても考えられなかっただけに、今後の日航の営業成績と新社長の手腕が問われ、大いに注目されることだろう。

2024年1月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com