2307.2013年9月6日(金) オリンピック開催地決定の不明瞭

 明後日未明に2020年オリンピック開催地が決まるとあって、テレビ局はこのところあれやこれやと候補地の品定めに余念がない。東京以外にはスペインのマドリードとトルコのイスタンブールが立候補してしのぎを削っている。

 今年の初夏辺りまではイスタンブールがヨーロッパとアジアに跨った都市開催と宣伝し、更にイスラム圏で初めての開催地としてかなり優位にあった。ところが今夏市内で大きな反政府デモがあり、それまであまり批判されなかった交通渋滞を絡ませて評価が下がった。持ち直しの傾向にあったが、ここへ来て隣国のシリア問題がネックとなった。シリアからの難民を抱えて治安問題が浮上してきたのだ。

 もうひとつの対抗馬・マドリードは、経済不安から都市部に多くの失業者を抱えている点が懸念され、ヨーロッパ全体の経済不況の影響も受け、一時ローマに続いてマドリードも下りると噂されたが、市民の五輪支持率が90%を超えるとPRし、そのうえバロセロナ・オリンピックに出場したフェリペ皇太子が先頭に立って活動し、ヨーロッパに多い王家、皇族シンパ票を取りまとめようとしている。

 これに対してわが東京は、安全・安心・確実に実行できるとの売り込みだった筈であるが、最近になって福島原発汚染水処理が懸念され思いも寄らぬ形で評価が下がりつつあるようだ。残り2日もないが、安倍首相がG20を途中で抜け出して、IOC総会会場で招致を訴え、その際福島原発の汚染水について安心できるスピーチを行い、何とか委員の票を勝ち取ろうとの目算である。

 ロンドンの賭け屋の予想では、かなり東京が有利との賭け率であるが、こればかりは天のみぞ知るということになろうか。

 それにしても決定前の過熱した報道はこれまでにないくらいヒートアップしている。もし、これで幸いにして東京に決定したら想像もできないような大騒ぎになるのではないかと思う。

 かねがね不審に思っていたのは、この開催地決定というのがどうもスポーツらしからぬルールで決められる不明瞭さである。そもそもIOCという組織自体が公明正大なものではない。委員の選出がヨーロッパに偏り、王家や皇族の出身者が多く、会議もほぼ非公開で悪く言えば、ヤクザの組織とあまり変わらない。どうしてこんな不思議な組織が力を持つようになったのかは定かではないが、民主的な組織でないことは明白である。各委員が裏取引に近い接待、供応、派手なロビー活動にうつつを抜かし、中にはある国の委員に投票すると確約するようなIOC委員がいる。もう少し公開の場で堂々と公平に決めることができないのだろうか。スポーツ貴族と称する奇妙な人たちが、立候補地との取引に応じるが如き対応でことが決定されるのは、どうも理不尽に思われて仕方がない。

 今度の決定にはもう間に合わないが、次回2024年の開催地決定に当っては、世界中の誰もが納得できるような明瞭な方法を考えてもらいたいものである。

2013年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com