5970.2023年12月26日(火) 益々過激化するイスラエル軍の攻撃

 イスラエル軍のパレスチナ・ガザ地区への攻撃は、激しさを増すばかりで、連日多くの犠牲者が出ている。すでに死者の数は2万人を超えたが、その内約8千人が幼い子どもたちだという。国際社会から停戦を呼び掛ける声が高まり、22日には国連安保理事会が人道支援拡大を求める決議を採択したが、イスラエル軍は一向に攻撃を止める気配はなく、むしろ破壊攻撃が広がっている。そして攻撃はエスカレートして、24日夜ガザ地区中部の難民キャンプが空襲され、70人が死亡した。イスラエル軍はイスラム派過激組織ハマスの幹部を根絶やしする信念で、ガザ地区内のトンネルなどの掃討作戦を展開している。昨日は、北部でハマスの中核的な司令部である地下トンネル網を発見し、破壊したと発表した。一方で、イスラエル軍兵士の犠牲者も次第に増え、地上侵攻を始めた10月27日以降兵士の死者の数は156人になったが、「この戦争には兵士たちの命という非常に重い代償が伴う。しかし、勝利を達成するまでは立ち止まらない」と議会で他人事のように声明したネタニヤフ首相に対して、人質の家族からは救出が難航している現状への抗議の声が上がった。

 昨晩のテレビ朝日「報道ステーション」で大越健介キャスターが、ヨルダン川以西のベツレヘムにある生誕教会から取材を生中継していた。生誕教会とは、言わずと知れたイエス・キリストが誕生した馬小屋の跡地に創建された世界遺産登録の聖なる教会である。大越キャスターは、そこで家族を喪った人々を訪れ、この戦闘の停戦と行方について尋ねると、彼らは申し合わせたように勝つまでは絶対終わらないと主張し、これには大越氏も驚いていた。隣り合わせに住む、ユダヤ人とパレスチナ人のお互いの憎しみと恨みは徹底しているのだ。

 12年前にこのベツレヘムの生誕教会をはじめ、東エルサレム、そしてイスラム国家ヨルダンを訪れた時、私自身同地で感じたことは、過去3千年以上に亘って対立してきた両民族の憎しみと不信感は、そう簡単に消えるものではないということだった。今も生活しなからお互いへの警戒感を捨てることなく、そうは容易く融和するわけもない。これは現地で臨場感を通して痛切に感じ取った。

 この戦闘の煽りを受けて遠く離れた日本にも影響が現れ始めた。それは、過日紅海を航海中の日本郵船の船舶が、イエメンの反政府勢力フーシ派によって襲われたことがきっかけである。この海域を航行する船舶でイスラエルに関係する物資の輸送と見られれば、彼らフーシ派に襲撃される恐れがあり、安全のために紅海ルートを一時的にアフリカの喜望峰を経由する遠回りのルートに変更することにした。時間も経費もかかり船舶会社にとっては厳しい選択であろう。

 昨日クリスマスにキリスト教徒ばかりでなく、ユダヤ教徒も生誕教会恒例のミサでお祈りしていたが、総大司教は、「今年のクリスマスには喜びと平和がない。~停戦について話すだけではなく、暴力の応酬を完全に止めなければいけない。暴力は暴力を生み出すだけだ」と説いた。残念ながら、今や停戦は絶望的である。

 ところで、クリスマスと言えば、12月25日に決まっていると信じてきた。しかし、ユリウス歴では、1月7日にクリスマスの行事が行われると初めて知った。その典型がロシアである。ロシアでは1月7日にクリスマスを祝っているが、ウクライナでは昨年までユリウス暦に従っていたが、今年からロシアに合わせることは止めて、欧米のキリスト教と同様に、すべての行事を12月25日に変更することに決定した。果たしてウクライナ人がキリストへお祈りした願い事は実現するだろうか。

2023年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com