5966.2023年12月22日(金) ダイハツの悪質な不正行為

 一昨日自動車メーカーのダイハツ工業㈱が、車両の認証試験で多岐に亙って不正をしていたことが大きく報道された。今ではダイハツは世界最大の自動車メーカー、トヨタ自動車の傘下にあるが、大手企業が法律で定められたルールを守れないとは呆れるばかりである。本社所在地の大阪府池田市内には、社名を採った町「ダイハツ町」もあるくらい地域でも信頼されている会社である。車は常に交通事故とは切り離せないほど危険な面がある。それだけに他の産業より安全面に配慮した順守すべきルールがきちんと決められている筈である。今回明かされた不正とは、衝突実験やタイヤ圧力、エアバック確認など事故防止のためのテストが手抜きされていたことのようだが、いずれもドライバー並びに同乗者にとって生命に関わる事象である。会社は、直ちに生産中の全車種に対して出荷を停止すると公表した。

 国土交通省は昨日ダイハツ本社の立ち入り検査を行った。会社は国内すべての工場における生産を順次止めるが、困惑しているのはダイハツの取引メーカーの部品メーカーで、止むを得ず自社の生産ラインも止めざるを得ない。ダイハツの取引メーカーは、8千社以上もあり、その売上高は2兆2千億円以上に上ると推定されており、その影響は計り知れない。同時に地域経済への影響が懸念されている。タイなどアジア諸国への輸出が多いようだが、タイ人ががっかりしていた。日本型ビジネス・モラルの実態を問われかねない。

 そもそも自動車メーカーの関連会社というのは、あらゆる分野で「安全」の2文字とは切り離せない筈である。その安全性を支える認証試験を好い加減に考え、会社の経営陣は手抜きを承知の上で、車の生産、販売に当たっていたと見られても抗弁のしようもない。この会社の悪質さは、不正行為が始まったのは30年以上も以前だったというから反省以前の問題である。不正の背景には、収益向上のために車の開発期間を無理やり短縮したことから、会社全体に言い知れぬプレッシャーが重なってからだった。更に認証試験の担当者の人員を大きく減らしていたことも問題視されている。不正が増え始めた時期は、皮肉にもトヨタがダイハツへの生産委託を拡大した時期とも重なる。

 折も折、トヨタ自動車は、一昨日最大の市場であるアメリカで、約100万台のトヨタ車の回収、無償修理のリコールを命じられた。正に弱り目に祟り目である。ここにもダイハツだけではなく、親会社トヨタ自動車の安全軽視に今回のトラブルの遠因があったのではないかと察せられる。

 個人的には、もう6年前に免許証の返還をして、車を運転することはなくなったので、車の安全性については関心が薄れているが、ひとつ間違えれば直ちに死に直結する乗り物だけに、他人事とは思えない。

 今年は、急激に寒さが襲来しているが、この数日北海道や日本海沿岸地域に押し寄せている豪雪のせいで立ち往生している車が数多く見られる。これらの車が、もし今回のように認証試験で手抜きした車なら豪雪の中で事故を招くことになる。幸か不幸か、大きな事故は現時点では報道されていない。今や日本人の勤勉さも薄れてきたということだろうか。

2023年12月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com