5963.2023年12月19日(火) 郵便料金大幅値上げ、郵政民営化って何だ?

 物価の高騰が続いている。日常生活用品の値上げが一般家庭では一番堪えると思う。アメリカでは長期金利を上げないようで、わが国としては多少円高の傾向が現れるので助かる。それが輸入品価格に反映されれば少しは、値上がりも抑えられるだろう。

 そんな時に郵便料金の値上げが来年実施されると唐突に発表された。値上げの理由として、輸送コストの高騰とデジタル化による郵便物の減少だという。実際国内の郵便物は、2001年のピークに比べると、22年は45%も減少したと言われている。その結果22年度は民営化以降、初めて赤字を計上した。それなら郵便物はなぜ減少したのか、先ずはその原因を突き止めるのが先決ではないだろうか。どうも値上げの理由がやや短絡的に思えて仕方がない。長年黒字だったが、ここへ来て初めて赤字となったので、すぐさま来年度から値上げをするという安易に結論を導き出すのにはうんざりする。もっと赤字になった原因を精査する必要がある。私自身ハガキや手紙をよく書く。手紙を書くことによって、文章力が向上するし、受け取った人からも喜んでもらえる。営業上顧客の獲得につながるとして在職中は、若い社員にも国内外を問わず、顧客に観光地などからは折を見て絵葉書を送るよう指導してきたつもりである。その点では、日本郵政㈱にとっては良き顧客であると自負している。それに対して、一方的に値上げを行うのは納得し難い。しかも値上げ幅がかなり大きい。これでは、益々郵便物を送る顧客は減少するのではないだろうか。現在63円のハガキが85円に、封書は84円と94円がともに110円に値上げされるという。ハガキなんて35%もの大幅値上げである。

 そもそも郵政民営化は何のために行ったのだろうか。2007年10月小泉純一郎政権の下で実施された郵政民営化は、資金の流れを「官から民へ」と変えることによって、わが国の経済効率化と、先細りが懸念される郵政3事業の収益向上による将来の「国民負担の回避」と恰好良くうたわれて来た。しかし、それとは裏腹に国民負担を増大させるばかりではないか。

 郵政民営化以降の郵便事業の結果を見ていると、国民にとってあまりプラス面が見えない。最近の事象を振り返ってみても、官民ともに不審な行動が見られる。かつての郵政省を解散して総務省に編入した事業改革にも問題があるのではないかと思える。今回の安倍派の裏金問題に関しても、現職トップの鈴木淳司総務大臣が裏金受け取りの件で、僅か着任3か月で更迭される有様で、そうコロコロトップが変わっては、総務省職員も落ち着いて仕事が出来ないのではないか。民部門では、郵便事業にスピード感がなくなってきたことである。以前は、東京都内なら投函した郵便物は、翌日には送り先へ届いたものが、今では決まって2日後である。そのうえかつては土曜日にも配達された郵便物が、今では土日曜日には、配達されない。

 充分反省したうえで、徹底的に収支改善を検討したという様子がまったく感じられない。赤字です。はい、それでは値上げしましょう。組織も今のままで良いのだろうか。

 過疎化が言われている農山村地域では、ポストが効率的ではないとの短絡的な考えから、経費節約のためにポストの撤去も検討されているというが、それでは過疎地域に住む人々は手紙すら書けないことになる。どうして、元は国営事業だった郵政という大事業を正面から腰を据えて改革しようとの気持ちが見られないのだろうか。こんなていたらくでは、将来が心配になって来る。

2023年12月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com