5961.2023年12月17日(日) 広島市長、失効した「教育勅語」を教育研修に

 松井一実・広島市長が新規採用の職員研修の際、あるまいことか「教育勅語」を資料に使っていたと知り、原爆被災地の市長のイメージとはあまりにもかけ離れたものではないかと疑問に思っている。今朝の「天声人語」でも次のように指摘している。「教育勅語は天皇のために命を捧げよと求めている。部分的に共感できる表現があったにしても、わざわざ勅語を引用する必要はあるまい。本質を無視するのは何か別の意図があってのことか。そもそもあの戦争で私たちは何を学んだのか。どんな思惑にせよ、右向け右と、国民が同じ方向を向かわされることの怖さではなかったのか。その象徴の一つが教育勅語であった歴史を、忘れるわけにはいかない」。

 そもそも「教育勅語」とは、明治憲法発布の翌年、明治23(1890)年に天皇が直接国民に発する言葉として制定され、教育の基本として戦前、戦中の学校教育の場で生徒たちに教えられたものである。「朕惟うに我が皇祖皇宗國を肇むること宏遠に徳を樹つること深厚なり~」で始まる315文字の冒頭の言葉は、意味は分からないなりにテンポがよく、今以て結構覚えている。天皇を国父とする家族国家観による愛国主義と、儒教的道徳を基本とすることが基本にあった。それが、軍国主義が発展するにつれ、私が誕生した昭和13年に国家総動員法が生まれ、本来の主旨から離れて軍国主義を正当化する教典として利用されるようになった。

 しかし、敗戦によりGHQが教育面でも、監視、指導するようになり、軍国主義が流れている教育勅語がやり玉に上がり、衆参両議院の文教委員長を呼び出し、干渉の形跡が残らないよう口頭で教育勅語の廃止を命じた。昭和23年6月に衆参両院では全会一致で教育勅語の排除失効決議を行い、明治23年に制定された教育勅語が、戦後昭和23年に廃止されることになった。

 松井現市長は、任期3期目ですでに12年目になるが、官僚上がりだが、被爆二世の被爆地市長として「脱原発」を唱えている。その市長が、軍国調の教育勅語を研修に採用していることに疑念を抱かざるを得ない。確か父母に孝行を尽くし、兄弟は仲良く、夫婦は助け合い、友だちは信じあい、学問を修め、等々は教育面では今日においてもあるべき姿ではある。しかし、戦後これらの教育的指導方法は軍国主義を助長するとして失効したものである。それを敢えてこの原爆投下地において指導要領として採用しているのが理解出来ない。松井市長! これからも「教育勅語研修」続けていくのか? さあどうする?

 さて、今日もパレスチナ・ガザ地区ではイスラエル軍によるハマス掃討作戦が続けられ、ハマス側に捉われた3人の人質がイスラエル軍によって殺害されたことが国際社会から厳しく非難されている。3人は白い旗を掲げていたと言われ、交戦規定に違反するとされ、それをイスラエル側は認めた。イスラエルに対しては、最近になって同盟国のアメリカや国際社会から停戦を求める圧力が高まっているが、ハマスを殲滅させることが停戦の要件と主張しているネタニヤフ・イスラエル首相は、「嘆きや国際的圧力はある。それでも我々は最後まで作戦を続ける。我々を止められるものは何もない」と相変わらず強気の姿勢である。

2023年12月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com