5956.2023年12月12日(火) 身勝手な行動で世界の孤児と化すアメリカ

 イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への激しい攻撃により、ガザは今や地獄と化している。子ども2千3百人を含む1万8千人もの死者を出す悲惨さである。住民は電気、水、食料、医薬品がなく飢餓状態で、衛生状況も悪化して人道的なピンチに追い詰められている。グテーレス国連事務総長がイスラエルの空爆と封鎖が続くガザ地区には国際人道法違反が見られると発言した。人道危機は一層深刻化している。

 先月末の一時的休戦も長くは続かず、今もガザ地区の人びとは避難先で毎日イスラエル軍の攻撃に怯えている。そして、このような状況下に、今月8日国連安保理事会緊急会合が開かれ、人道的停戦を求める国連加盟国の半数を上回る約100か国によって国際法に基づく民間人の保護や、人質の即時解放を求めた決議案が提案された。しかし、安保理事国15か国の内、日本、フランス、ロシア、中国など13か国は賛成したが、イギリスは棄権をし、常任理事国アメリカが唯一反対したために、提案は否決されてしまった。この安保理事会緊急会合は、国連憲章99条に基づく事務総長の要請で開かれたもので、過去にあまり開かれた例がない。最も新しい例では、1989年のレバノン内戦にまで遡るほどである。その伝家の宝刀の国連憲章99条を踏みにじるような判断を下したアメリカには、先制攻撃を仕掛けたハマスへの制裁が含まれていないことに賛同出来ないとの考えがあるようだ。しかし、イスラエルの同盟国であるアメリカが、好戦的なイスラエル政府に配慮しているだけに過ぎない。翌9日には、国際人道法の順守を繰り返し訴えていながら思考力混乱のバイデン大統領は、国際人権団体が戦争犯罪に加担していると批判して、ガザ北部で「ハマス崩壊寸前」の最中に、イスラエル政府に武器を1億650万㌦で売却すると発表するノーテンキぶりである。

 今アメリカの存在は、その自己本位な行動と不誠実な言動で心ある国々から不信感を買っている。先月末に屋久島沖で米軍ヘリコプター・CV22オスプレイが墜落した事故にしても、海上自衛隊が墜落と発表したのに、それを認めずに米軍内の意向で不時着水と発表したり、日本が事故原因が解明されるまで一時飛行停止を求めたことに対して、墜落した機種と同じオスプレイを救助捜索に当たらせるなど理不尽な言動が多い。結局アメリカ軍は事故原因には機材の不具合の可能性があると認め、全世界でオスプレイを一時飛行停止すると発表する始末である。とにかく相手国の懸念や不安に配慮せず、すべてマイペースで関係国に迷惑をかけている有様である。

 他にも日本でアメリカ軍横田基地から発がん性の疑いのあるPFASが漏れ出していたことが発覚した。これも漏出のあったのは、2010~12年で、米軍から防衛省と東京都には伝えられていた。これを防衛省と都が米軍に忖度してそのまま伏せられてきた。これが公になったのは、何とイギリス人ジャーナリストがアメリカ政府への情報開示請求で得た文書によって、初めて日本側に知らされたというからのん気なものである。

 アメリカが絡むとロクなものにならない。イスラエルによるガザへの攻撃に反対するのではなく、逆にイスラエルに武器を供与しようというのである。世界の国々とは逆の行動に出るのが、世界第一の民主主義国と自慢するアメリカの世界一の錯覚だろうか。

 さて、日本国内では自民党安倍派所属議員による政治資金パーティのキックバックが大きな問題となり、明日の通常国会終了後に岸田首相は、政府閣僚、副大臣、政務官らの更迭を実行し、新人事を発表すると観測されている。「瓢箪から駒」と言っては語弊があるが、安倍派で1千万円の裏金を受け取りながら、収支報告書に記載しなかった点で名前の挙がった参議院自民党幹事長で、近畿大学理事長でもある世耕弘成議員が、近畿大学教職員組合から理事長辞任の要求が出され、来る21日の団体交渉で回答を求められている。他にも理事長や理事らが決めた人事や経営方針に疑念があるとして、半数以上の理事の入れ替えや、創立100周年募金活動の一時停止を求めたという。長く近畿大学で権力を揮っていた世耕理事長自身に政治的裏金疑惑があり、募金を呼び掛けるのは不誠実として、世耕理事長に厳しい対応を求めている。政治資金パーティの裏金問題が、思いがけない方向に発展してしまった。

 明後日以降に公表される政府の閣僚人事はどういう構成になるのだろうか。強い関心を抱いて発表を待ちたいと思っている。

2023年12月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com