5955.2023年12月11日(月) また出た裏金疑惑と片手落ちの少子化対策

 このところ連日のように自民党国会議員の政治資金パーティをめぐり還流された資金が、裏金だとしてメディアで大きく取り上げられている。現在まで明らかになったのは自民党の安倍派の幹部連6名であるが、その後衆参両院議員3名の裏金が公表された。その3人の内、大野泰正参院議員が5千万円、池田佳隆、谷川弥一両衆院議員が4千万円の高額のキックバックで、いずれも政治資金収支報告書に記載していなかった。安倍派全体の裏金の総額は、5年間で実に数億円に膨らむ見通しで、東京地検特捜部は不記載について慎重に捜査中である。議員も揃って、詳しい説明をしようとしないが、中でも悪質で傲慢な態度を示したのが、谷川議員である。再三の応答の後、質問がしつこいとでも思ったのか、「あんた頭悪いね。これ以上、言いませんと言っているじゃない」と記者を侮蔑するような言葉を吐いた。

 そして更に今日新たな裏金が明らかになった。橋本聖子・前五輪担当相が2千万円以上のキックバックを受け、収支報告書に記載しなかった疑いが持たれている。橋本議員も反省していると述べたが、他の脱税議員と同様しかるべき時に説明責任を果たしたいと語っていた。だが、それはいつのことになることやら・・・。

 さて、最近少子高齢化に伴い、子どもの数が少なくなったことから、政府は今日「異次元の少子化対策」と銘打ち、あれっと思うような方針を打ち出した。それは、2025年度から3人以上の子どもがいる多子世帯について、子ども3人の大学授業料などを無償化する案を固めた。これに所得制限は設けない。政府は6月に児童手当の拡充などを盛り込んだ少子化対策の戦略を決定し、事業費として約3兆円を考えていたが、更に6千億円を上乗せするようだ。

 この3人の子どもに対して大学の授業料を全額無償化するという案は、不意に表面化してきたような感じである。確かに子どもが3人もいれば、家計は苦しいと思うが、2人の子持ち家庭には補助金を支給せずに、1人子どもが増えたことによりすべての子どもの授業料を国が負担するというのは、公平性から考えて妥当とは言えないのではないだろうか。況してや大学の年間授業料は平均でひとり81.5万円だそうだから、4年間で326万円となり、これが子ども3人の家庭では3人が大学を卒業するまでに978万円が補助されることになる。約1千万円の学費補助を大した議論もせず決めるとは少し乱暴ではないかと思う。多子家庭を支援するのは結構である。しかし、これはあまりにも一方に偏ってはいないだろうか。もっと少額でも助けを求めている国民は、子どもを持つ家庭ばかりではなく、全国に大勢いると思う。

 少子化対策という反対し難い政策を打ち出すことによって、多額の国家支出を生み、国民の間に不公平感を生むのは、聊か考えものではないかと思い、すんなり受け入れることは出来ない。

 一番気になるのは、これほどの政策を打ち出すに当たり、これまでどの程度国会や、専門委員会などで議論し検討されたのか、分からない。メディアを通して充分伝えられていない。政府に対する批判が高まるにつれて、政府はこのようなお年玉プレゼントを多子家庭に提供しているのだ。いくら落ち目とは申せ、岸田内閣ももう少し筋の通った、不公平感のないやり方が出来ないものだろうか。

2023年12月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com