5945.2023年12月1日(金) アウシュビッツ収容所に関する拙稿

 所属するNPOの定期機関紙に毎号拙稿を2つばかり書いているが、そのひとつに1,000字程度で連載中の「世界遺産物語」がある。11月号に「負の文化遺産・アウシュビッツ強制収容所」について、6年前に訪れた感想を記した。それを私のHPに掲載し、出来る限り読んで欲しいと思い、機会を捉えて知人や友人らにメールで知らせている。それに対して友人らからいろいろコメントをもらうことがあるが、昨日知りあいの菱山郁朗・元日本テレビ政治部長から「とても深い感銘を受けました。これまでで最高の秀逸原稿です」と過分にお褒めのメールをいただき、その後追伸で「友人知人に転送します」と再びメールをいただいた。菱山氏からは、毎度それなりの評価をされたメールをいただいているが、これほどまでに高く評価していただくと張り合いはあるし、嬉しく思っている。これまで地道に毎日書き続けている本プログ執筆にも力を与えてもらえる。

 その世界遺産について執筆するに当たり、これまでに訪れた200か所近い世界遺産の中で、どの世界遺産を取り上げるか、いつも考えるのだが、次号では前号にアウシュビッツについて書いた経緯から、ホロコーストで多くの犠牲を被ったユダヤ人が、今ではそれとは反対にパレスチナ人を壊滅せんばかりに攻撃している現状から、エルサレムの世界遺産を取り上げるのがタイムリーではないかと思っている。今から11年前にイスラエルを訪れた時、パレスチナ領内のベツレヘムにあるイエス・キリストの生誕の地だった「聖誕教会」や、「嘆きの壁」、キリストが十字架に磔にされたゴルゴダの丘の「聖墳墓教会」、イスラム教信徒の聖地「岩のドーム」を訪れたので、それらについて触れてみたいと考えている。でも、1,000文字には収まりそうもないのが、やや気がかりである。菱山氏のコメントは嬉しく本当に有難いと思っている。

 さて、日本人にとっても忘れられない人物、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官が一昨日亡くなった。享年100歳だった。アメリカの国務長官として華々しく活躍され、世界中を目まぐるしく飛び回り、ノーベル平和賞受賞など歴史的な史実にもその名は刻まれている。

 だが、ユダヤ人系ドイツ人として生まれついた運命のせいだろうか、その人生においてとりわけ戦争や紛争に関わることが多かった。一番印象に残っている事象は、同盟国である日本には一切話さず頭上を飛び越えて、当時国交がなかった中国を極秘裏に訪れ、ニクソン訪中のお膳立てをして、その後の1979年カーター大統領の下で米中国交回復を実現させたことである。

 しかし、ユダヤ人としての出自のせいもあり、その現実的な考えは、平素から外交面で発揮された。彼は国益の追求こそ国家の本性であり、力の均衡によってこそ国際秩序は守られると考えていた。それは、ベトナム戦争でカンボジアへの爆撃や、チリの社会主義政権の転覆に関与したり、国益のためには手段を選ばなかった点に見られ、その活動は功罪相半ばすると思われる。沖縄返還交渉でも大きく関わったが、今もその手法には傷跡が残るような、緊急時に沖縄への核兵器の持ち込みを秘密裏に合意したことが、その後日本にとっても重荷となった。

 1973年にはベトナム和平協定を成立させ、ベトナム戦争は75年に終結した。その功績は大なるも、どうも我々日本人の立場から見るとひとり芝居をやっているような印象が強かったように感じる。今後はこういうタイプの政治家はあまり現れないと思う。

 今日パレスチナとイスラエルの7日間に亘る戦争休止が終わり、また戦闘が始まった。この戦争の行方は誰にも分かるまい。古来対立してきた両国の争いは今に始まったことではない。休戦は難しいと思う。

2023年12月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com