来年4月から3%の消費増税が決まっていたが、それを予定通り実施するかどうかについては、自民党税制調査会の意見や、増税の見返りに経団連から法人税減税の要求が出されて中々まとまらなかった。今日漸く予定通り実施することが安倍首相と麻生経産相、経産省との話し合いで決まったようだ。正式には来月1日安倍首相が発表する。
これで国と地方の税収は8兆1千億円増えると推定されている。但し、これには減税という付帯条件が付くようだ。復興特別法人税の廃止を1年前倒しして支払い分の1%に相当する9,000億円を減税することと、住宅ローン減税に4,000億円、低所得層への現金給付に3,000億円を充てる。
しかし、この復興特別予算とは法人のみならず、一般国民からも所得税や住民税を積みまして支払ったものではないか。それを法人と低収入の人だけに還元するような減税措置は税の公平負担の観点からいかがなものかと疑問に思う。あれやこれやの経済対策も併せてトータルで5兆円超の規模である。お金が入ると思うとつい気持ちが大きくなり財布の紐が緩む。消費増税分は社会保障費に充てるというのが当初の目的だったのではないか。言うことは立派だが、これではあっという間に消費増税分がどこかへ消えていってしまうのではないかと心配になる。そして再来年10月に2%の消費税増税が追加されて、消費税が10%になったら、もうその次の消費増税はできないと考えないといけない。
来年4月の3%アップは理解できるとしても、その使い方が問題である。景気対策の中には、2020年東京オリンピック施設建設、及び防災、減殺などの公共投資に1兆円超が予定されているらしい。オリンピックの公共投資は、消費税増税が提唱された当時は考えられていなかった筈である。しかも度々本ブログで指摘しているように無駄な投資を抑制することを考えれば、現在使用されている競技施設を補修すれば充分間に合うので、新しい競技施設を作る必要はない。これほど多額の無駄な投資はしなくて済む筈である。どうも視点がバラバラではないだろうか。いつも関係者や担当者の思惑、政治家の地元誘導ばかりが先行して、健全財政なんか気にもせず放ったらかしである。こんなやり方では、次回の2%増税の時は絶対賛成できない。その場を繕うことばかり考えているのが、どうも政治屋の習いというもののようだ。
さて、2015年の世界文化遺産登録に向けて、「明治日本の産業革命遺産」として「軍艦島」の名で知られる端島炭鉱や八幡製鉄所、長崎造船所などをユネスコへ申請することが決まった。地域が岩手から鹿児島まで広く8県28遺産に及んでいる。現在使われている施設も含まれていて、ちょっと「明治日本」という言葉に当惑する。多くの地域にまたがっていたり、現在も使用されていたりちょっと分り難い点がある。それぞれ価値の高い遺産であろうが、これこそ世界遺産の価値があるものだと国際者赤いに胸を張って主張できるような遺産を申請して欲しいものである。そう言えば、これまで文化庁文化審議会が推薦を決めていたものを、どういうわけか今年は世界遺産条約関係省庁連絡会議が推薦を決めた。ここにも何らかの思惑か、駆け引きがあるのだろうか。
なお、来年2014年審査分は、すでに「富岡製糸場と絹産業遺産群」が推薦されている。