去る12日の本ブログに川勝平太・静岡県知事に対する批判的な私見を述べた。知事は全国学力調査の小学6年生国語Aで静岡県が最下位になったことにショックを受け、静岡県内下位100校の校長名を公表すると衝撃的な発言をして、教育上問題があるのではないかとその強引なやり方に批判が集まっていた。ところが、昨日知事はコロッと手を変えて、今度は全国平均点を上回った小学校86校の校長名を県のホームページに発表したのだ。そのHPを見てみると確かに、知事の独りよがりの言い分と好成績だった小学校の校長名だけが50音順に並んで掲載されていた。お灸をすえるべき人の名を、褒めるべき人の名に変えて公表したが、こういう唯我独尊的な人物が権力を傘に着て一方的な行為をこれほど簡単に行使したことに危機感を憶えている。
川勝知事の言い分が奮っている。「下位でも上位でもどっちでもよかった。教員の責任の所在を明確にするために公表した」とだけ述べた。この投げやりな発言を聞いていると、教育的配慮がまったくなされなかったことがよく分る。文科省の学力調査実施要領では学校名を公表しないよう定め、県教育委員会も公表を取り止めるよう求めていた。
しかし、知事は教育専門家らの意見に一顧だに与えず、「学校名を公表しておらず、実施要領には矛盾しない」と強引に押し切った。
知事には話し合いに応じる気はさらさらなく、自分が思ったことを一方的に行動に移しただけだと我々の眼には映る。与える影響とかリアクションをまったく考えてもいないらしい。しかし、このことによって、県内教育関係者との間に大きな溝ができてしまったのではないだろうか。静岡県の教育行政が些か心配である。教育現場で最も尊重されなければならない「話し合い」を行政のトップである知事自らが見捨てて、問題解決のために歩み寄ろうとの気持ちがなくては、事態は円く収まる筈がない。
知事自身過去に非倫理的でスキャンダラスな行為を犯し、教育に関しては最も不適材な人物だと思うが、この経緯を考えても知事が真剣に相手の立場を考えるような人間ではなく、非常識なことに率先して首を突っ込む人間だということがよく分る。こんな有様では教育行政ばかりでなく、行政面すべてで県民に皺寄せが来るようなことになるのではないかと思うと静岡県民が気の毒に思えてくる。