6038.2023年11月24日(金) 政治家への献金の不条理と韓国従軍慰安婦訴訟

 どうも不透明ですっきりしない事象がある。

 ひとつは、国会議員の政党支部の政治資金である。2021年の政治資金収支報告書の調査で分かったことであるが、国会議員が代表を務める政党支部が、企業や団体から献金を受けるケースの中に怪しい処理があることである。正に癒着を防止するために改正政治資金規正法により禁止されている政治家個人への献金の一歩手前である。政党支部への献金を政治家への寄付に振り替える抜け穴的な資金の流れを行っている政治家が大分いるようだ。

 そして、驚くことは、約700人の国会議員の中で、430人の議員が代表を務める政党支部が、1万2千の企業や団体から約34億円もの多額の献金を受けていたという。その内自民党政党支部が、約31億2千万円で他の野党に比べて圧倒的に多い。献金を受けた自民党政党支部を覗いてみても、上位には1位麻生太郎副総裁、2位田村憲久元厚労相、3位伊東良孝衆院議員、4位茂木敏充幹事長、5位萩生田光一政調会長のように、ほとんど自民党有力者の顔ぶれが揃っている。これについて、政治に詳しい岩井奉信・日大名誉教授は、「企業や団体も政治参画の権利は当然ある。ただ、政党支部のほとんどは議員個人の団体の性格が強く、献金は議員が見返りに便宜供与する疑念につながる」として、節穴だらけの現法を改正すべきだと主張している。現在のルールはずる賢い政治家に都合よく利用されかねない。国会議員は国民のために活動するより、自分の私服を肥やすために活動しているとはよく言われる。この政党支部への献金などは、まさにその典型だと思う。

 さて、もうひとつ気になった案件は、一向に終止符が打たれない旧日本軍の従軍慰安婦問題と元徴用工の損害賠償問題である。日韓請求権協定を韓国は日本と合意したことにより、いずれも解決したとされていた。だが、実際にはその趣旨が生かされていない。昨日ソウル高裁が下した元慰安婦への賠償金の支払いを日本政府に求めた判決には、元徴用工の問題同様に日本政府は遺憾の意を表明した。長い歴史的な裁判であるが、釈然としないのは、ひとつは日本政府が1965年に当時の韓国政府と結んだ「日韓請求権協定」により、日本政府は当時の韓国の国家予算に匹敵するほどの無償供与3億㌦の他に、有償供与として2億㌦を提供し、前記の通り日韓間の財産・請求権、及び慰安婦問題は完全、且つ最終的に解決とされた。

 それが韓国側から無視され、剰えソウル高裁判決では、「国家には他国の裁判権が及ばない」とする国際法上の「主権免除」を配慮せずに、日本政府に対して損害賠償すべきとの判決を下したのである。当然日本は高裁判決を受け入れる筈もなく、これでは事態は一向に前へ進まない。現在96歳になった元従軍慰安婦のひとりは、韓国流の逆転勝訴に喜びを表した。だが、事態は彼女の求める方向には進まないだろう。現状では、これ以上解決の光は見えない。日韓請求権協定は韓国政府が国家の責任の下に受け入れたものであり、この先は韓国政府が韓国国民に対して元慰安婦や、或いは元徴用工を納得させるよう努めるべきであると思う。

2023年11月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com