2020年東京オリンピック開催に向けて競技場の新設に拍車がかかりそうだ。現在ある施設をそのまま使用しないで、この機会に便乗して新たに施設をつくろうというのだ。所謂ハコモノの新設である。つい先日日本郵政が所有しているバブル時代の「かんぽの宿」の売却が緒についたと伝えられていたが、今朝の朝日新聞に「ハコモノ大後悔時代」と高度成長期に建てられた公共施設のリストラが始まったとの記事が大きく取り上げられている。
自治体が抱える建物が、人口も税収も減る中でその維持費だけは確実に増え、財政的に支えていけなくなっている。問題は大きな支出が伴うとは言え、実際に住民に利用されている場合闇雲に施設を閉鎖するわけにも行かず、住民サービスの低下を懸念する声の中でどう対応すべきか自治体も頭を痛めている。
神奈川県南足柄市では文化会館の休館が市民からの猛反発で方針の撤回に追い込まれた。その時の市長は次の選挙で落選の憂き目に遭っている。市は直ぐには結論が出せず、検討チームを発足させてどうすべきか対応を練ることになった。千葉県習志野市では、公民館のほかに、図書館、児童館、勤労会館なども廃止の予定に入っているが、やはりそれらを利用してきた人たちにとっては閉鎖されることが我慢できない。しかし、市が建物の削減を示して度々説明会を開いた後のアンケートによると施設の統廃合に賛成した人が7割を超えたそうだから、現状では自治体が住民に丁寧に実情を説明し、理解を得るより手立ては中々見つからないようだ。
それにしてもバブル景気に浮かれて、後から後から新しいハコモノを作り、それが隠れ借金として自治体に残されているのに誰も気がつかず、今になって一気に縮小・整理することの方が無茶苦茶だと思う。大体橋や高速道、トンネルなどのようなインフラについて、その後に経費がかかるにも拘わらず、人件費や減価償却費のような維持管理に係る経費を計算に入れていなかったというお粗末さに呆れている。
ある地方の役人は反省を込めてこう言っている。「老朽化や将来税収の把握が後手に回った。計画的に維持管理していれば施設の閉鎖を減らせた可能性もある」。
オリンピック競技施設の新設についてもバブル時代のハコモノを他山の石としてもらいたいものである。
さて、今日プロ野球セントラルリーグのペナント・レースで巨人軍が昨年に続いて2連覇を達成した。最近テレビでもあまり野球中継を観ないが、根っからの野球ファンだった子ども時代から巨人ファンだったので、熱は薄れたが巨人の優勝は悪い気はしない。後はクライマックス・シリーズ(CS)で日本シリーズ出場権を争うことになる。
ついては、かねてよりおかしいと思っているのは、いまセ・リーグのCS出場を争っている勝率4割台の3位広島カープが仮に勝率5割を割ったまま出場権を得てCSに勝ち、日本シリーズでパ・リーグの覇者に勝てば、勝率5割以下のチームが日本一という奇妙なことになることだ。プロ野球界は各チームがこのように一年を通して戦ったペナント・レースの価値を、劣化させるような理不尽な制度をそのままにしておいて良いのかなぁ。
普段は半分も勝てないチームが日本一なんてどう考えてもおかしくないだろうか?