5928.2023年11月14日(火) 円安に無策の財務相はこのまま留任か?

 このところ円安市場が続き一向に止まる気配が見えない。根本的にはアメリカの長期金利が高く、日本の低金利との差が大きく開いているため、金利差の拡大が投資家にドルを買い円を売らせるような市況が続いている。13日のニューヨーク外為市場で円安ドル高が一気に進み、円相場は一時、1㌦=151.92円となった。これは今年の最安値である。今年1月には127円台だったものが、今や151円台である。これでは原油など輸入関連商品は堪ったものではない。

 この円安傾向について、管轄する鈴木俊一・財務大臣の対応にどうも納得がいかない。財務相は「よく市場を注視し、緊張感を持って見ながら、しっかりした万全の対応をしていきたい」である。またも「緊張感を持って注意深く見守る」の決まり文句である。何度同じ言葉を聞かされたことか、これは円安が進むたび毎に鈴木財務相が言う決まり文句である。いらいらしている投資家を安堵させる発言はまったく聞かれない。つまり下手に金利をいじくったりして大損害を被ったら、その時の批判が怖いので、判断はすべて日銀に任せて危険の伴う手は打たず、無難な発言に抑えておくという印象が強い。鈴木善幸首相の子息で二世議員らしい煮え切らなさである。

 鈴木大臣は、今回の神田憲治元副大臣の固定資産税滞納スキャンダルに際しても、直接の部下であり、同時に補佐役である筈の副大臣の行為に対して、何のお咎めもなかった。まるで他人事のような態度である。財務省とは無関係と言わんばかりである。本来なら大臣として財務省に務める職員の規律に関して厳しく対応すべきところを、一切触れようともしなかった。こういう大臣の「触らぬ神に祟りなし」の性格が副大臣の野放図な行動に表れたと言われても弁解出来ないほど、神田元副大臣同様に鈴木財務大臣の責任は重いと思う。国家の財政の総責任者であるので、鈴木大臣にはもう少し毅然として業務と人事管理に当たってもらいたいものである。財務大臣としては荷が重いなら、そろそろ適材適所の大臣に替えてもらった方が良いのではないかと思う。

 国内ではそんなすっきりしない大臣がいる一方で、イギリスの閣僚交代にはちょっと驚いた。スナク首相が、昨日ブラヴァマン内相を解任し、その後任にグレヴァリー外相を任命した。そして驚いたのは、外相にすでに政界を引退していたキャメロン元首相を推挙したことである。キャメロン氏は今では国会議員ではないために、政府によって上院(貴族院)に推され、一代貴族のキャメロン卿・外相として、大変な時の渦中にあるスナク首相を支えるという。キャメロン外相は2016年にイギリスが、EU離脱、いわゆるブレグジットを巡る国民投票で離脱が決まったことを受けて首相を辞任した過去がある。翻って元首相が政府に復帰するのは、1970年以降初めてということでイギリスでは一部に党内分裂の危機を孕むとの噂もあり、EU内でも大きな話題になっている。

 ことの是非は別にしても派閥争いにうつつを抜かしている日本の政治家にはとても考えられない発想と行動力である。

2023年11月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com