プロ野球日本シリーズでセ・リーグを制した阪神タイガースが、連覇を目指すパ・リーグの覇者オリックス・バッファローズを7-1で破り、4勝3敗で実に38年ぶり、2度目の日本一の座に就いた。今年は3月に開催したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝して、野球景気を盛り上げ、その延長線上で夏の甲子園高校野球も慶応高校が107年ぶりというドラマチックな優勝を遂げた。
38年より遥かに遡って今年は関東大震災からちょうど100年という節目の年でもある。自然災害からの防止・防災が随分話題になり、警告もなされた。ところで、同じ100年記念でも何となく微笑みがこぼれてくる話題がある。それは先日渋谷のハロウィーンで、周囲を板塀で囲まれ姿を隠していた「忠犬ハチ公像」である。ハロウィーンの翌日には、板塀は取り払われ、懐かしいハチ公が姿を現してその写真を撮ろうと思っていた外国人ら観光客が待ち構えていた。何とあのハチ公像が建設されてから今月でちょうど100年になるという。
ハチ公と言えば、今は亡くなった両親は2人とも東京生まれの江戸っ子だったから、若かったころに渋谷に立ち寄ると飼い主のご主人を待って駅前に大人しく座って待っていたハチ公を何度も見たと言っていた。私には、待合場所と言われているあの周辺で人と待ち合わせをしたこともないので、格別ハチ公に対して親しみとか、愛情を感じるようなことはないが、昔に比べて、傍を通ると確かに外人を含む多くの人びとがハチ公像と一緒にカメラに収まっている光景を見るにつけ、いつの間にかここも話題の観光スポットになったのだろうか。
さて、秋冷の候である11月に入ったにも関わらず、このところ日中の気温が平年に比べて暑く、今夏の暑さの延長ではないかとの声が聞かれる。
東京都内の11月の平均気温は、記録に残っている1875(明治8)年以来20℃を超えたことはなかった。それが地球温暖化の影響もあり年々気温が上がり、2016年の15.5℃以降上昇傾向が続き、昨年はついに20℃一歩手前の19.1℃を記録した。そして今月に入り昨日は、26.3℃という11月としては記録にない夏日となってしまった。昨日まで4日間の11月平均気温は、夏日手前の24.7℃に達した。そして今日はやゝ下がったとは言え、23.7℃である。これには街行く人の感想では、出かける時の服装が難しいと話していた。秋の服装か、夏の軽装か迷うところのようだ。
いずれ一般的な今年の陽気などについては、専門家筋から公表されると思うが、今では地球規模的に暑さが蔓延し、夏が長くなり、南極の氷も解け始め、グテーレス国連事務総長の言葉を借りれば、「地球沸騰化」現象とまで言われている。「地球沸騰化」という言葉については、今年の流行語大賞候補にノミネートされているほどである。古来日本には春夏秋冬4つの季節があり、それぞれにその季節の味わいが文化や風習面に表れていた。今の状態が持続され、暑さが加わってくると冬の鍋料理などは姿を消し、春秋の風情が見られなくなり俳句などもなくなってしまう恐れがある。
例えば、秋を表す「秋深き 隣は何を する人ぞ」、「荒海や 佐渡に横たふ 天の川」(いずれも芭蕉作)や、有名な持統天皇の春を詠った「春過ぎて 夏来きたるらし 白妙の 衣干したり 天の香具山」や、「菜の花や 月は東に 日は西に」(蕪村作)の季節感を伝えた日本の俳句、和歌の特異な詩情が伝わらなくなる。暑さが情緒を奪うということだろうか。
厚生労働省が今年5月から新型コロナウィルスの感染状況を、定点観測値として公表するようになってから、メディアではほとんど感染状況を報道しなくなったが、確かに感染者数は減少しているが、完全に消えたわけではない。日本各地でコロナが流行していた数年前から昨年までは、伝統行事も自粛していた。それが、最近では各地で再び行われるようになって、地元では景気づけになると積極的に行事を再開している。実は、今日妻ともどもコロナの7回目のワクチン注射を受けてきた。2021年5月に初めて接種して以来7回もワクチン接種をしたことに自分でも驚いている。普段外出の際は、今以てマスクを着用しているが、電車やバス車内では最近はマスクをしている人が少ない。厚労省も、メディアもワクチンを無料接種している以上はもう少し、コロナ感染について警戒を啓発すべきではないだろうか。