5915.2023年11月1日(水) 「不便で面倒だ!」こんな旅行嫌いがいるとは?

 煩いとか、街が汚れるとマイナス・イメージが喧しかったハロウィーンが昨日には終わり、渋谷駅周辺は人の立ち入りを防ぐために立てられた防護板が取り除かれ、漸く平常に戻った。今年は駅周辺へ人が集まることを制限したために、例年の人出もさほど多くなく騒ぎもほとんどなかった。渋谷区や近くの商店街もきっとホッとしていることだろう。

 さて、芥川賞作家の町田康氏が、今朝の朝日のコラム「輪の芽」に「旅行、そんなに行きたい? 不便だし面倒なのに」と持論を展開している。氏が言いたいのは、旅行には行きたくないというこれまで誰からも聞いたこともない思いがけない気持ちである。理由は不便だからというだけである。家にいれば快適に過ごすために用意されているものを、旅先まで持って行かなければならないことが面倒だとまで書いている。普通は偶には旅行でも行こうかと、何とか時間のやりくりをして、旅費も小遣いをはたいて心が躍るような気持ちで出かけるものだ。それを準備が面倒くさいとか、不便だとか言うのは、とても普通の感覚とは思えない。私なんて若いころからいつもどこへいつ旅行しようかとか、何を目的に出かけようと考えてばかりいたものだ。その旅への憧れが、今世界の注目を集めているイスラエルや、戦時中のベトナム、いつも話題を提供するアラブ諸国まで足を伸ばすことになり、その分臨場感を持って現実に起きている社会現象を感じ取ることが出来たと考えている。旅には数々のプラス面があるが、不便だなどと感じたことは1度もない。むしろこれまでの人生において、旅から得た教訓、知識、友人などは何事にも代え難いと思っている。「可愛い子には旅をさせろ」と昔からの教えがあるように、楽しい旅、厳しい旅、それぞれに得るものは大きい。私は旅のない人生など無意味だと思っているくらい旅に惚れ込んでいる。

 元ロック歌手でもあった町田氏は、気持ちを発散出来るのは、家の中で想像力を解放して思考したり、ものを書いたりすることだそうだ。それはそれで良しとして、普通はそのように室内に閉じこもっている生活から精神的に解放されて、思い切って外の空気を吸うために旅へ出たいというのが、誰もの希望であり、常識的な考えだと思う。この人の不可解な気持ちの中には、旅は予約とか、道に迷うとか、不安だらけだという後ろ向きの気持ちがあるようだ。例え、当初の予定通り旅が出来ずに、変更せざるを得ないとしても、それは別の意味で旅の面白さであり、魅力でもあると思う。

 このような普通の感覚とは思えない性格であるために、町田氏は他人とよくトラブルを起こすようである。私が最もよく覚えているのは、2007年に同年齢のギタリスト布袋寅泰に顔を殴られたと警察に被害届を出して事件になったことがあった。

 氏の言い分をまとめてみると次のように言っているのだ。「自分が旅好きか、嫌いかを見極めることが大事ではないか。何となく周りに合わせて『旅行に行かなきゃ』と思う必要はないし、もし、家で発散するタイプであったなら、堂々と家で遊ぶことをおすすめします」とまで言っている。旅嫌いも極まれりである。

 どう考えてもこの型破りの作家の、旅行が嫌いという気持ちが理解出来ない。

2023年11月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com