5905.2023年10月22日(日) 自衛隊にのめり込む岸田首相、木原防衛相

 支持率低下で頭を痛めている岸田文雄内閣に、また頭の痛い問題が公になった。防衛大臣を務める木原稔・衆議院議員が地元熊本に近い長崎県の衆院補欠選挙の応援演説で、「自民候補を応援していただくことが、自衛隊並びにそのご家族のご苦労に報いることになる」と軽率な発言をした。自身防衛相である立場上つい口を突いて出た本音であろうが、自衛隊を政治的に利用した発言として野党ばかりでなく自民党内からも厳しい批判を浴びている。

 これも自民党政権が最近とみに右傾化、防衛力強化へまい進している行動がはしなくも現れた一例であると思う。木原防衛相は、第2次岸田内閣で初入閣したばかりだが、その手腕は党内でもかなり評価が高いという。他国領域のミサイル基地などを破壊する敵基地攻撃能力を具体化させたが、そのため岸田首相と直談判の上で訪米しアメリカ宇宙軍トップと会談し、宇宙領域での協力について同じ方針であることを確認した。ただ、持論がやや先走りする軽い傾向があるようで、防衛政策に精通はしているが、不用意な発言が多い。2015年に沖縄全戦没者追悼式では、当時の安倍晋三首相に「帰れ」とヤジを飛ばした参列者たちに対して、彼らは沖縄県による「動員」だったと陰謀論を唱えて物議を醸したこともある。

 冒頭の長崎の応援演説の発言については、防衛相ではなく政治家として発言したと発言自体に反省はなかったが、誤解を生むというなら撤回したいと一歩後退した。自衛隊の政治利用を巡っては、2017年にも当時の稲田朋美防衛相が軽率な発言をして批判され、発言を撤回したことがあるが、それが教訓になっていない。防衛相は、憲法が認めていない軍事力を保持する自衛隊のトップであるだけに、発言には充分な配慮が求められるが、木原防衛相のタカ派的体質にはブレーキがかからないようだ。木原防衛相は前記のように党内でもこれまで度々物議を醸す発言を行ってきたが、むしろ防衛予算を大幅に増額させた功績?により、党内では着実に地歩を固めている。稲田防衛相は発言の責任を取り辞任したが、木原防衛相は、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえると防衛力の抜本的強化を着実に進めていく必要がある」として、その気はまったくなく、岸田首相も頼もしい?と考えているのか野党から罷免要求には応じず、このまま留任させるようだ。

 また、昨日は防衛省で殉職された自衛隊員の追悼式が行われ、岸田首相、木原防衛相らが出席され、首相は職務中に尊い命を落とされた自衛隊員の霊を慰められたという。それは由として、同じように国民のために職務を遂行中に殉職された警察官、消防官らを追悼する式に出席したという話は聞いたことがない。やはり右翼政治家であり、防衛力強化を心掛けている首相だけに自衛隊には格別の扱いをしたいのだろう。

 ウクライナ戦争の解決がまったく見えず、新たにパレスチナ・ガザ地区の攻防が注視されて自民党内でも防衛力強化の動きが強まっている。しかし、戦争体験のない日本の政治家が、いくら口ではうまいことを言ったところで、所詮戦争の本質が分からない政治家が、戦争に触れるような言葉を発するたびに、日本が戦争に巻き込まれる可能性がどんどん増していくような気がしてならない。

2023年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com