5904.2023年10月21日(土) 岸田内閣のバラマキ、所得税減税と給付金

 このところ岸田内閣の支持率が下降傾向で、各メディア独自の世論調査でもその支持率は30%前後がほとんどである。最近の朝日新聞の調査では、2021年岸田内閣発足以来最低の29%まで落ち込んでしまった。この他に読売34%、毎日25%、共同通信32.3%、時事通信26.3%といずれも似たり寄ったりで過去最低を更新した。特に若者の支持率が10%台とパッとしないことが効いている。

 岸田首相の経済対策には5本柱があり、①物価対策、②賃上げ継続、③国内投資促進、④デジタル化など社会政策、⑤国土強靭化、であるが、国民にとってはこのままではあまりピンと来ない。それも不人気を加速させている原因のひとつでもある。財政的に苦しいなかで税収がやや増えたのを知り人気回復策として首相が検討したのは、安易なバラマキ、つまり所得税の減税である。それが自民党内でも賛否両論で中々方向性が見出せなかったが、所得税減税と還元策を同時に実行しようということになりそうだ。つまり減税と給付をセットにしようという腹のようである。ところが、それも実施にはそれぞれハードルがある。所得税減税は、所得税自体にかかる税額が収入の多寡により7段階もあり、高額納税者ほど還元額が多い。また、一定水準以下の収入だと所得税はかからない。非納税者に対して税金の還元を行うわけにはいかず、給付金を配布するという試案である。しかし、こうして税収増になったからと言って還元だけしか頭の中にないようでは、いつまで経っても財政再建は難しい。

 いずれにしても実際に減税となると、その制度設計には現場が相当苦しむことになるだろう。しかし、これはあくまで岸田内閣の不人気のせいで、こういう未来への展望のない政策ばかりやっているようでは、財政悪化が積もり積もって次の世代を苦しめることになることをよく考えるべきである。

 さて、今年も文化勲章と文化功労者の受章者が決定した。文化勲章受章者7名の中でその名を存じ上げている人は、4名だが、その中でサッカーの川淵三郎氏が選ばれたのには少々驚いた。スポーツ界からは古橋広之進、長嶋茂雄に続く3人目だそうである。サッカー選手だった川淵氏はサッカーJリーグの創設に関与して初代チェアマンとして活動し、Jリーグを地域に根付かせてスポーツ文化に貢献した後に、バスケットボールのBリーグ発足にも役割を果たしたことが評価された。川淵氏自身も選手としての功績ではなく、スポーツ文化の発展向上が認められたことが、嬉しいと語っている。他には、狂言の野村万作氏、作家の塩野七生氏、経済学者岩井克人氏の他に3氏が選ばれた。文化功労者には、俳優の北大路欣也さん、卓球の木村興治氏、漫画家の里中満智子さん、グラフィックデザイナーの横尾忠則氏ら20名が選ばれた。

 図らずも時代劇俳優の市川右太衛門の子息である北大路欣也さんが、13歳で銀幕デビューした時の作品が「父子鷹」だったと知り、感慨深く感じている。実は、「父子鷹」は、子母澤寛の原作で高校時代に読売新聞夕刊に1年余に亘り連載されていた、勝海舟父子の波乱万丈の物語に熱中していたが、今時の新聞連載小説がまったく面白くないのに比べて、今以て新聞連載小説の中で一番印象に残っている作品である。

2023年10月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com