5903.2023年10月20日(金) アメリカがイスラエル肩入れで安保理拒否権

 パレスチナ・ガザ地区では空爆を受けたうえ、食料、水などの生活必需品が入らず、電気・ガスも止められ、その困窮ぶりは想像を絶する。東京23区の6割程度の土地に新潟県とほぼ同じ人口、約222万人の人びとがひしめき合っている、世界で最も人口密度が高いと言われるガザ地区の被災の様子は、連日テレビで目を背けたくなるような悲惨な光景を映し出している。バイデン米大統領をはじめ、各国の首脳や要人がイスラエルを訪れ、人道危機的状況を何とか回避すべく会話を交わしているようだが、各国それぞれが人道危機より、自分たちの打算的な思惑による発言に終始して一向に解決へのメドが立たない。

 そんな苛立った空気の中で、昨日国連安保理事会が開かれ、議長国のブラジルが提出した、①ハマスによる攻撃や誘拐を非難し、人質の解放を求める、②人道支援のための戦闘の一時的な停止、③イスラエルがガザ地区北部の住民に出した退避通告を撤回するよう求める、など主要3項目を盛り込んだ決議案は、非情にも否決された。15理事国のうち日本を含む12か国が賛成し、ロシアとイギリスは棄権したが、常任理事国のアメリカだけが唯一反対を唱え、決議案は否決されることになった。何故アメリカはこの提案に反対したのか、戦争を嫌う国民は誰もが賛同すると思える提案にアメリカが反対するとは、普段「正義の仮面」を被っているアメリカの言動からはとても信じられない。決議案にイスラエルの自衛権についての言及がないことがお気に召さぬらしいが、平素からイスラエルの支援国であるアメリカとしては、少しでも親イスラエル国の印象をイスラエル国民と自国民に与えたかったのだろう。

 それにしても国連安保理事会で、拒否権を発動するのはこれまで決まって中国か、ロシアでこの両国の否決のせいで国連の機能が充分発揮されないとまで言われていたが、それが今回は中国とロシア、そしてほとんどの国々が賛成する中でアメリカだけが否認するとは、アメリカこそが、国連の機能不全に加担したことになるのではないか。

 さて、昨日のブログに記した日大アメフト部部員が大麻を服用した事件について、日大理事会内でもめていることが外へ漏れ伝わっている。林真理子理事長が、この事件の対応に当たっていた澤田康広副学長に辞任を要求したことである。これには、この不祥事自体の他に、このまま日大自身で大麻問題を早急に処理出来ないと大学としてのイメージが大きく損なわれるということがある。そしてそれが、このところ2年間文部科学省による私学助成金の不交付に繋がったことが影響しているようだ。日大への私学助成金は、2020年度に90億円交付されたが、その後田中英壽・前理事長の背任、収賄事件が明るみに出て、21年度、22年度は交付されなかった。学生による大麻スキャンダルも大きなマイナスだったが、助成金が交付されなかったのは、むしろ日大のガバナンスの欠如が、大分効いているようだ。結局理事会内の対立、ガバナンスの欠如、学生の大麻スキャンダルなどが大きく影響している。澤田副学長の解任を迫った林理事長も漸く真剣な顔で対応するようになったが、「週刊朝日」6月9日最終号で阿川佐和子氏と対談した林理事長が、阿川氏からどうして日大理事長を引き受ける気になったのかと尋ねられて、面白そうだから引き受けたと不真面目な応え方をしていた。理事長も日大理事長の職を遊び半分で引き受けていたのだ。こんな理事長らの対応では世間が納得すまい。況してや私学助成金の原資は国民の税金である。もう少しマンモス大学もしっかりしてもらいたいものである。

2023年10月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com