5896.2023年10月13日(金) 文科省、旧統一教会の解散命令請求

 文部科学省は、今日世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を請求した。統一教会は、昨年7月奈良県の遊説先で安倍晋三元首相が統一教会と深い関係があると逆恨みした犯人に射殺され、事件が公になり世間からあくどい献金や、高額な物品購入などが糾弾されるきっかけとなった。これまでの賠償額は示談による和解金を含めても220億円余になるというから相当長期に亘り、悪辣な集金を行っていたのだろう。意外にも政府が民法の不法行為などがあったとして解散を請求するのはこれが初めてだという。解散命令が確定すると統一教会は宗教法人の法人格を失い、税の優遇がなくなる。この動きに対して、統一教会は、極めて残念であり、遺憾に思うと言い、日本の憲政史に残る汚点とまで恨み節をHPに記している。統一教会は裁判で争う方針である。

 被害に遭った元信者にとっては許しがたいことであり、彼らが願っている解散への第一関門は通過した。だが、この組織自体が行ってきた行為に自民党がかなり深く関わっていたことが、むしろもっと大きな問題だと思う。自民党国会議員の中で、統一教会と何らかの関わりがあった議員は、179名もいる。

 統一教会の関連団体である「世界平和教授アカデミー」が80年代に立ち上げた「80年代ビジョンの会」と称する組織が、当時からほぼ半世紀に亘り自民党と内閣に対して政策提言を行ってきた。特に1982~87年の中曽根康弘政権に対するその提言たるや露骨に日本の政治に口出しし、内政干渉している。それを当時の政権はこの組織の要望をどこまで採用したのか不明ではあるが、実際に国家の政策として実行されたことも事実である。

 例えば、「80年代ビジョンの会」が政策として提言した、①国民意識の改革のために毎月1回国民に直接政策を訴える番組をメディアで計画、②国鉄の分割・民営化の促進、③日米関係の修復、日韓関係の緊密化、④防衛計画大綱の早期達成、などである。特に④では、有事法制、自衛隊法改正、民間防衛、空軍の強化にまで踏み込んで言及し、剰え防衛費の1%枠の早期撤廃、防衛予算の500億円上積みまで要求している。

 中曽根内閣は、実際にこれらの政策を進め、それは今日の岸田政権にまで引き継がれている。統一教会は本部が韓国にあり、韓国の本部が自民党を通じて日本の内政に干渉していたということでもある。長年に亘る懸案だった国鉄の分割民営化が、実際に行われたのは中曽根内閣末期の1987年4月であり、防衛費の増額も本年から大幅に増額された。「80年代ビジョンの会」の言うがままに日本の政治は操られて来たような印象を受ける。

 中曽根首相は自民党内では少数派閥で基盤は強くなかった。それ故に統一教会に頼ったところがあったのではないかと憶測せざるを得ない。

 しかし、解散までにまだいくつかの乗り越えなければならないハードルがある。その最大のものは、この決定が効力を持つまでにかなりの時間を要するという点である。それは、過去に解散命令を受けた宗教法人に、オウム真理教と明覚寺事件があるが、前者の決定が有効となるには7か月、後者に至っては3年もかかったことである。その間に所有する財産を隠匿、或いは海外へ移転させる可能性があり、すでに立憲民主党などは、財産管理命令の規定を宗教法人法に盛り込むよう主張している。

 いずれにせよ、自民党と統一教会が水面下でしっかり手を握っていたことは、多くの自民党議員の行状によっても随分明かされている。日本の政治が外国の民間の組織に指図され、財産を投げ捨てるような献金や物品の購入を求められるような宗教団体を、この際徹底的に排除して欲しいものである。

 この得体の知れない宗教団体が蔓延ったことに、自民党自身大いに反省すべきで、国民に対しても詫びるべきである。

2023年10月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com