5891.2023年10月8日(日) 世界的な話題、ノーベル平和賞とパレスチナ攻撃

 今日は2つの世界的な話題について言及してみたい。

 ひとつは、このところ連日今年度のノーベル賞受賞者が発表されている中で、とりわけ世界中の関心を惹いているのは平和賞受賞者である。生理医学賞に続き、化学賞、物理学賞、文学賞、そして昨日その平和賞の受賞者が決定し、発表された。この平和賞受賞者の選定について、選考委員会は「女性に対する弾圧と闘い、人権と自由を守るためにも闘った」として、イラン人の女性人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏を選出した。モハンマディ氏はこれまで長年に亘って女性の権利擁護や死刑制度の廃止などを訴えてきた。イスラム教の原理の尊重、特に女性への差別を謳っているイラン政府は、モハンマディ氏が行ってきた活動は国の安全保障を脅かしたとして彼女はこれまでに何度も逮捕され、現在も首都テヘランの刑務所に服役中である。

 イランでは昨年9月、女性が公共の場で着用を義務づけられている「ヘジャブ」と呼ばれるスカーフのかぶり方が不適切だとして逮捕された女性が死亡し、警察による暴行を疑う抗議デモが各地に広がったが、これについてモハンマディ氏は獄中からSNSに投稿したり、メディアに寄稿したりして、デモへの連帯を示すとともに、デモの参加者に対して政権側が暴力をふるっていると繰り返し非難してきた。モハンマディ氏は、夫も14年間の投獄を経験した後、3人の子どもを連れてフランスに亡命している。

 イラン当局はこの受賞について反発を示しており、12月にオスロで行われる授賞式にモハンマディ氏が出席出来る可能性は、かなり薄い。残念ながら、今年も各分野で日本人受賞者はいなかった。

 もうひとつの話題というより事件は、ウクライナ戦争に目が向いている最中に、昨日突然中東の火薬庫と言われるイスラエル・パレスチナ自治区のガザ地区からイスラム過激派ハマスがイスラエルへの大規模攻撃により多数の死傷者を出したことである。新たな戦争へ発展しなければ良いがと願っている。ロイターによるとイスラエル側の死者は200人を超え、一方ガザ地区でも報復攻撃により230人余りが死亡したという。イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスが残酷で邪悪な戦争を仕掛けた」として、強力な報復措置を取ると表明し、米国など西側諸国はパレスチナによる攻撃を非難し、イスラエルへの支援を表明した。バイデン米大統領は、イスラエルには自国を防衛する権利があると述べた。

 なぜ、この時期にハマスは、このような過激な行動をとったのかということであるが、昨日はユダヤ教の祝日のシーズン、最終日の土曜日だったこと、日ごろ経済封鎖によりパレスチナ全体に不況が訪れており、パレスチナ人民の不満を解消するためにそのタイミングを狙っていたと思われる。

 2012年にパレスチナ自治区のベツレヘムを訪れ、イエス・キリストが生まれた馬小屋だった聖誕教会を訪れたことがあるが、自治区内へ入るためには車も乗り換えなければならないほど制約があった。ただ、表面上は何事もなかったように見えたが、もう2千年以上に亘って対立を繰り返しているアラブ民族とユダヤ人との確執はそう簡単には消え去るものではないと思う。世界に争いは絶えないが、現代に生きる我々は、ひとつでもそれをなくすことを心がける必要があると思う。

2023年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com