5882.2023年9月29日(金) 中秋の名月に大阪IRカジノの胡散臭い話

 今日は中秋の名月である。旧暦で8月15日に当たる。1年で最も月が美しく見える日と言われている。昨今はゆっくり夜空を見上げて月を眺めるなんて子どものころのような、純真でロマンティックな気持ちが薄れてしまった。それでも今日は日中から空は晴れていたし、テレビでもしきりに今晩は中秋の名月が眺められるといっていたので、眺めてみようという気になっていた。だが、夕方近くなって全天に雲が広がって来た。それでも6時には東の空の地平線より少し上の方に大きな虹色のまあるい月が見えた。8時過ぎに空を見た。黄色くまん丸い月が見えた。しばらく見とれていた。やはり詩的である。つい子どもの気持ちになってあの中にうさぎがいるんだろうかなどと妄想した。じっくり中秋の名月を眺めたのは、何年ぶりだろうか。

 さて、昨日大阪府は多くの問題点が指摘されているカジノを含む統合型リゾート(IR)について、IR事業者の「大阪IR株式会社」と実施協定を締結した。2025年に開催予定の大阪・関西万博の跡地となる大阪湾内の人工島・夢洲に半永久的に建設される賭博場である。

 数々の問題の中でも最も懸念されているのは、賭博行為であるカジノが刑法で禁じられているにも拘らず、ここでは例外的に認められたことである。ギャンブル依存症が増えるのではないかとの当たり前の指摘に対して、事業者から真摯な回答はない。敢えてこんな反社会的な施設を多額の税金を投じてまで作る必要があるのだろうか。まだ万博開催が決定されない時、開催後の跡地としてIRをトップダウンで決めたのは、最大の責任を負うべき松井一郎・前大阪市長である。その市長は責任逃れのように今年4月任期満了を以てあっさり市長の座を去った。

 ディズニーランドのように民間施設なら法律に違反せず、周囲から環境破壊などと糾弾されない限り、気にすることはない。だが、このIRは、上記のように条件付きとは言え、法律に抵触し、ギャンブル依存症を増やし、更に最も注視しなければならないことは事業費としてかなりの公費が注ぎ込まれることである。すでに初期事業費が大幅に増え、今後も増える可能性が高い。特に会場は人工島内に作られる施設であるだけに地盤沈下と液状化現象がすでに表れ、今後もそのための備えが必要である。

 なぜこれほど問題を抱えるような大プロジェクトを計画したのか。

 そこには、当時の松井一郎市長・知事の日本維新の会に「目立つ事業を起こしたい」、「関西経済界をリードしたい」との思惑があったからである。しかし、計画自体はそれほど精査されたようには思えず、取らぬ狸の皮算用ばかりが目立っている。大阪府・市が弾いているソロバンでは、①年間売り上げは、約5,200億円(うちカジノは4,200億円)、②年間来訪者数は約2千万人(うち海外から約6百万人)、③関西圏への経済波及効果(年約1兆1千4百億円)、④開業後の雇用創出効果(年約9万3千人)等々である。思惑通り実施出来るかどうかはまったく未知数である。ただ、どうしても気がかりなのは、今後も土地の整備をめぐって公費負担が増えることである。

 すでにあまりにも事業費が嵩み、今後も増え続けることや、賭博行為を国が特例で認可したことはとても理解出来ないし、賭博自体が世間一般に与えるイメージから考えると、私は個人的にはとてもIR自体を容認も賛成も出来ない。

2023年9月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com