5876.2023年9月23日(土) ウクライナ支援国間に亀裂か?

 いま国連の存在意義が問われている。特に、ロシアによるウクライナ侵攻以降国連で討議され出された結論が、その都度ロシアや中国の反対により機能しないケースが増えた。こういう時に開催された今年の国連総会では、戦時中のウクライナから初めて出席したゼレンスキー大統領が、ロシアに対して厳しい非難スピーチを行った。

 また、翌日の安全保障理事会では、20か国以上が出席した首脳級会合に、残念ながら常任理事国5か国から首脳が出席した国は1国もなかった。これも近年国連の機能不全を象徴する例ではないだろうか。イギリスとフランスの首相は、両国の国内事情もあり国連総会自体にも出席しなかった。会合ではウクライナへの支持が大勢を占めたが、ロシアのラブロフ外相は、相次ぐ批判を意識するそぶりも見せず、自国のウクライナ侵攻の正当性を主張して、ウクライナの崩壊と人権問題は西側諸国が責任を負っていると戦争が起きた原因を責任転嫁する有様である。

 このように淀んだ関係の中で状況が少しずつではあるが変わりつつある。それはウクライナへの支援態勢の中にも見られるようになった。率直に言って支援国の間に分裂が見られることである。最大の支援国家であるアメリカ国内でも共和党を主に、このまま支援を続ける前に国内問題を優先解決すべきであるとの声が高まっていることであり、ウクライナへの支援を手控える動きが現れてきたことである。それでもアメリカは、共和党の反対の中で、約480億円の追加支援を決定した。

 ウクライナへの支援に対する活動が分裂する中で、隣国ポーランドのモラビエッキ首相が、ウクライナへの武器供与の停止を言及したことにも覗える。その前提には、EUがポーランドを含む中東欧5か国の農業を保護しようとウクライナ産穀物輸入の規制を延長しないと判断したことについて、ポーランドが強く反発し、禁輸を続けると発表したことを受けて、ゼレンスキー大統領が国連演説で、ポーランドに対してモスクワを手助けしていると批判したのである。ポーランドはウクライナの窮状を最も理解し、百万人近い避難民を受け入れているほどウクライナに心を寄せていた。ウクライナ支援国の間で意見が分かれることは、ロシアの主張と行為を利することにもなる。何とかこれまで通りウクライナを各国が一致して支援する体制を継続してもらいたいものである。

 さて、世界には日常生活上耐えがたい事態に陥ることが時折発生するものである。いま密かに懸念されているのは、南米ベネズエラの物価高騰である。日本国内でも円安などに伴う物価上昇は起きているが、ベネズエラの物価上昇ケースは常識の範囲を遥かに超えている。現地では独裁的なマドゥラ政権下の経済的な混乱と格差の拡大が続いている。現地ではかつて原油価格の高騰により国は潤い経済成長を続けたが、その痕跡は今や残されていない。国際通貨基金(IMF)が公表した2018年の前年比インフレ率は、6万5千%だったというから想像もつかない。今年度の物価上昇率は400%にまで落ちたようだが、それでもこのインフレは、けた外れである。

 ベネズエラの物価上昇は実感としてピンと来ないほどの上昇率である。その挙句に生活苦に耐えられなくなった国民の7百万人が国外へ脱出した。結果的に国民の9割が貧困に喘ぎ、平均月収は6㌦と言われている。それでもマドゥラ大統領への支持は落ちていないというからよく分からない。背後に中国とロシアの支持があり、アメリカ資本をバックにした野党勢力を追放したからだと言われている。いつになったら貧困から逃れられない国民は救われるのだろうか。

 日本の物価上昇も疎かには出来ないが、世界にはこのような極度に貧しい国が他にもあることを我々も日ごろから考えておくべきであると思う。

2023年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com