以前にこのブログにちょっと触れたことがある。少々意外だったが、思いがけず「世間は狭い」という現実を知らされることになった。
昨晩大学ゼミの後輩からメールを受け取った。その後輩とは、大学を卒業して60年もの長きに亘り、ゼミの恩師、先輩、同級生、後輩らとともに普段から親しく交流を続けている後輩というより、同輩、友人である。彼は毎年2度アマチュア・オーケストラの「上野浅草フィルハーモニー管弦楽団」定期演奏会で楽団の1演奏者としてチェロを奏でている。
実は、4年前に京都市内で中学校の同窓会が開かれた時、同じクラスだった女性から息子さんが東京にいて、NHK交響楽団でチェロを演奏していると聞き、早速チェリストの友人にその名を尋ねてみたところ、チェロ界ではかなり知られたN響の首席チェリストだと知らされた。その後テレビでN響の演奏の度ごとに注目して観ていた。その名を藤森亮一氏と言い、確かにオーケストラの中でも強く存在感が感じられた。友人の話では、友人のオーケストラでは近い内にチェロ・グループのレッスンに、個人的に藤森氏に指導してもらう予定であると聞いていたが、昨日がそのレッスンの日だったという。レッスンの後に食事を一緒にされ、その際藤森氏の母親と私が京都市立上桂中学校(現桂中学校)で同じクラスに在学していたことを、友人が私のHPから転写した卒業写真を見せて話したところ、藤森氏もあまりにも意外な縁にびっくりされたらしい。そして、友人が事前に購入した拙著を私からの贈呈品として差し上げ、その写真をメールでわざわざ送信してくれた。
流石に藤森氏も実家京都市内に住む母親と、その日の教え子の友人であり、都内に住む私が同級生だったことには大分驚いたようで、世間は狭いですねと仰っていたとか。しかも今日友人から改めてもらったメールによると藤森氏も母親と同じ中学出身というから、藤森氏は私にとっても中学の後輩にあたる。こんなことがあろうとは思いも寄らなかったことである。藤森氏同様に私も世間は本当に狭いものだと実感している。11月に今年度2度目のコンサートが行われるが、藤森氏のご指導を得てオーケストラのチェロ部隊は、きっと素晴らしい音色を聴かせてくれることだろうと期待している。
さて、モロッコの地震に次いで去る11日に隣国リビアで発生した、大洪水の被災状況の正確な全体像が中々把握出来ない。発生当初は死者2千名と言われたが、これはすぐに追加訂正され、14日には地元デルナ市長はNHKの取材に対して死者8千名と公表した。同時に2万人以上に上がる恐れがあるとも言った。それが一昨日には国連人道問題調整事務所(OCHA)は、死者は1万1千300人、行方不明者が1万100人に上がり、今後更に犠牲者は増えると発表した。
被災が大きくなったのは、過去にこれほどの暴風雨が地中海沿いを襲ったことがなかったために豪雨対策が行われていなかったことと、市街の中心部を流れる川の地形、地中海を襲った特殊な「メディケーン」と呼ばれる低気圧などが大きな原因とされている。復興問題を含めてその後も被災者が増えているのは、リビア国内の政治的な対立が最大の原因であるように思える。
2011年にそれまで独裁的な権力を握っていたカダフィ大佐が暗殺されてから、国の西部、首都トリポリにある暫定政権と、東部の被災地デルナを支配する東部勢力の軍事組織の間で内戦状態が続いていることが大きい。2020年には一時的に国連の仲介により停戦が実現したものの、それぞれ議会と首相が選出されるなど分裂状態は解消されず、混乱が続いていた。このため東部地域にあった2つの砂防ダムは充分な整備が行われず、決壊した原因となった。2つの勢力が対立してこのままの状態では、復興も覚束ない。現状は国連でさえ手に負えない。ウクライナに高価な兵器類を次々と送り込んでいる無駄を停戦させることによってストップさせ、少しでもこれらの貧しい国々へ支援を行うわけにはいかないものだろうか。世界の政治家の知恵と行動が機能しなくなっているのが、もどかしい。