5861.2023年9月8日(金) ジャニーが冒した「人類史上最も愚かな事件」

 コロナ渦で自粛生活のうっ憤晴らしもあり、先日中学時代の友人から久しぶりにワインで乾杯しようと誘われ、今日東京駅内ステーションホテルで会う約束をしていた。友人はワインに造詣が深く、著書も出している権威でもあり、ワイン談義を楽しみにしていた。ところが、数日前から台風13号の接近が予想され、日が近づくにつれ約束の今日の午前中に強風雨が東京周辺を直撃しそうとの予報が伝えられた。そこで、風雨が激しくなりそうなので乾杯を1週間延期しようと、昨日友人に電話をして今日は自宅に引きこもることにした。これが正解だった。朝起きたら雨が降り、外は肌寒く、線状降水帯も発生した。とても乾杯なんかやっているムードにはなりそうもない。素早く延期を決断したことは正解だったと言えよう。それにしても今日の東京都内の最高気温は、25.2℃で真夏日でないのは、何日ぶりであろうか。明日からまた真夏日に戻るようで、しばらくぶりの秋冷の日はまた遠ざかってしまう。

 さて、世間を賑わせていたスキャンダルについて、芸能タレント・プロダクションのジャニーズ事務所が、先日外部の再発防止特別チームからの提言に基づいて釈明の記者会見を昨日4時間余に亘り開いた。初代オーナーの故ジャニー喜多川が、幼いタレントに長い間性加害を繰り返し、犠牲者は実に数百名に上り、その期間は40年以上も続いていたという。ジャニーズのケースは、独裁者だったジャニー喜多川の破廉恥行為に幼い子どもらが声を出すこともなく、事務所でも噂は承知していながらこれまで放置、隠蔽していた事件である。ひところ週刊文春によって暴かれたようだが、さほど騒がれることもなく、犠牲者は増えて行った。メディアの責任も重い。

 この事件が急速に公になったのは、ロンドンのBBCが取り上げたからである。BBCは週刊文春の記事を後追いして、BBCワールド・ニュースで、「Predator:The Secret Scandal of J-Pop」(J-Popの捕食動物~秘められたスキャンダル)と題してシリーズで4回も放送したという。その後国内でも被害を名乗り出るジャニーズ所属元タレントが次々と現れ、ジャニーズ事務所も知らん顔を出来なくなった。再発防止特別チームは被害者41人と個別に面会し調査の結果を先日公表した。そのリーダーが弁護士の林真琴元検事総長だったからこそ、問題点を厳しく調査し、発表出来たのではないだろうか。

  結論として、1)ジャニー氏の性嗜好異常、2)ジャニー氏の姉メリー氏の放置と隠蔽、3)ジャニーズ事務所の不作為、4)被害の潜在化を招いた権力構造として、その背景に同族企業の弊害、杜撰な管理体制、ガバナンスの脆弱性、メディアの沈黙、等々が挙げられ、再発防止策として1)事務所が性加害の事実を認め謝罪し、速やかにその救済に乗り出すべきであり、社長の辞任、同族経営の弊害の防止、2)取締役会の活性化、の他にメディアとの対話の重要性を提言した。

 昨日の会見では、ジャニー喜多川の姪にあたる藤島ジュリー景子社長に代わって、新社長に就任した東山紀之氏は、「事件を人類史上最も愚かな事件」と決めつけた。懸念されるのは、ジュリー前社長が代表取締役のひとりとして残り、しかも100%の全株式を独占所有していることなどが公表されたことである。

 そう短兵急に解決出来る問題ではないにせよ、同族企業からの脱皮を求められている中で、ジャニーズの名前を残すことや、前社長が代表取締役として留まることは問題を残した気がする。東山新社長にしてもタレント活動を年内に引退して社長業に専念するとの意気ごみはともかく、会社経営の経験がまったくなく、果たして願い通り会社を立ち直らせ、補償を済ませ、再出発が出来るかどうか、疑問が残る。他人事ながらしばらく外野席から眺めようと思っている。

 海外でもBBCが「責任者が虐待を認めた」との報道をはじめ、AFP、ロイター通信、ブルームバーグなどでも批判的に告発報道された。東山新社長が述べたように、まったく恥ずかしい事件である。

2023年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com