今日は台風12号が熱帯性低気圧に衰えたとは言え、その影響で東日本は雨模様の所が多いようだが、我が家の庭も午前中は雨で草木がしっとり濡れていた。月曜日なので燃えるゴミを出す日でもあり、雨の中では段ボールは控えて空き缶だけを外へ出したが、道路を隔てた目の前の道路の角には、段ボールが山と積まれていた。これはいつものことだが、雨の中では段ボールがびしょ濡れになるのも構わないようだ。私たちが現在の場所へ引っ越してきたのは43年前になる。その当時自宅前は古い木造アパートと空き地内に駐車場があった。そこへ10年ほど前に10軒近くの住宅が建設され若い人たちがやって来たが、昔と違って引っ越しの挨拶はもちろん、普段から近所づきあいがまったくない。せいぜい言葉を交わすのは目の前の2軒のご家族だけである。若い人たちは、ゴミ出しのルールも守らず、強風が吹いたりすると出した段ボールなどが我が家の門まで吹き飛んでくる。私たちが越してくる前から居住しておられるご近所の年配の方々は、道路上でお会いすれば軽い挨拶や、立ち話をすることもある。今も「向こう三軒両隣」の情はある。それがどうして近頃の若者たちは、ご近所と交流をしようとしないのだろうかと以前から不審感を抱いていた。
引っ越し続きだった自分自身の過去を振り返っても、今までご近所さんとは、親しく気軽に何でも話していた。現在の隣づきあいを拒絶するような空気は、平成年代に入ってから特に目立つようになった気がしている。
そんなことを考えていた時、NHKで「世界ふれあい街あるき」で「シルクロードの青い都―サマルカンド(ウズベキスタン)」を観たことを思い出した。残念ながらまだ1度もここを訪れたことがない。13世紀にモンゴル軍の侵攻によって一時は廃墟と化したが、英雄ティムールによって一大帝国として復活した。現在世界遺産に登録されている。ウズベキスタンの第2の都市であるが、人口は僅か52万人である。市内には青いタイルのイスラム式建築物が立ち並ぶ姿はサマルカンド・ブルーと呼ばれ、多くの外国人観光客を虜にしている。
実は、この街の人々がとてもフレンドリーで誰彼となく通りがかりの人にも気軽に声をかけ、自宅に招き、ご馳走までしてくれる。彼らもそれがこの街の伝統で住民もそれが普通だと思っていると言い、自宅内で家族を紹介し、楽しいひとときを過ごすことを待っている印象である。こういうおもてなしの風習は、外国でも途上国の地方都市などに多い。実際私自身インドネシア、タイ、ビルマなどで現地の人たちから受け入れてもらい、忘れられない時を過ごしたこともある。結局都市化が進んで人々がお互いに接触する機会が減り、他人と過ごす時間が無駄な時間だと考えるようになり、少しずつ避けるようになった頃から、人間としての情が失われ出したように思う。
もっと人や自然と触れる機会を増やすことが、今の世知辛い世を温もりのある社会にし、人々を思いやりのある人にするのではないかと考えている。そういう意味でもサマルカンドの人々の考えと行動力を知ったことは、とても参考になった。健康が許せば、何とか1度サマルカンドを訪れて見たいと考えている。