5849.2023年8月27日(日) 福島原発汚染処理水放水への反響

 去る24日政府の方針の下に、東京電力は福島原発汚染処理水を海洋に放水を始めたが、中国政府の強硬で身勝手な抗議に対してきちんと説明し説得する必要がある。中国の言い分と抗議の気持ちは理解出来ないこともないが、自国の安全基準を上回る汚染処理水を13か所も無断放水したことを隠しながら、中国は日本の国際的な科学的安全基準をクリアした放水を、一方的に誹謗する不条理で身勝手なやり方だからである。

 まず、中国は科学的根拠を一切考慮しない国であることを承知しておく必要がある。国際原子力機関(IAEA)が、福島の汚染処理水は安全基準以下であると科学的に認めたが、中国政府はこれを歯牙にもかけず、日本が行った汚染処理水という言い方ではなく、あたかも日本は汚染されたまま放水したと強弁し、世界中の人々に何世代にも亘って健康上の負担を負わせていると一方的に非難し、3日前から日本の水産物の輸入を全面的に禁止する行動にまで及んだ。報道統制下にある中国国内では、国民は政府の言葉を額面通り受け取ったせいか、昨日辺りから非礼にも中国から日本へ嫌がらせの電話や、メールが数多く送信されている有様である。北京の日本大使館では、トラブルを恐れ日本人ピアニストによるイベントまで急遽キャンセルしたほどである。また、韓国内でも尹錫悦大統領は、汚染処理水の放流を容認しているが、反対する市民も多く日本大使館にデモ隊が押しかけ逮捕者まで出している。

 国連安保理事会でも、中国と北朝鮮が日本に対して上記のように間違った批判を行い、日本の国連大使は、IAEAが認める安全基準以下の汚染水を放流したもので、誤った情報を流さないよう厳重に抗議を申し入れたくらいである。北朝鮮こそが、国連憲章違反の核実験を度々繰り返したり、無断でミサイル発射実験を行ったり、散々日本を含む周辺国に迷惑をかけていながら、中国と歩調を合わせて汚染処理水の放水を非難する身勝手ぶりである。

 アメリカでは、日本の対応を容認しているが、中国同様にThe New York Timesなどの主要紙が、「汚染処理水」と書くべきところを「汚染水」と表現している点などは、正しく理解されるような対応策が必要ではないかと思う。その点では、日本の外交筋は、事態がデリケートな問題だけに正しく理解してもらえるようきちんと説明を尽くすことが求められると思う。

 中国は、現時点では話し合いの余地がないとみたのか、明日から3日間訪中する予定だった山口那津男公明党代表に、タイミング的に適切ではないと山口氏に訪中を延期するよう連絡があり、山口氏もショックを受けながらも受け入れた。それほど汚染処理水の放水は中国政府の神経を高ぶらせている。この様子だと日中関係の改善は大分遠のいたと言えよう。

 中国政府の言い分では、日本は今後30年以上に亘って世界に原子力汚染水を放流し続けるとの過大な言い方をしている。あまりにも無責任な言い方ではないか。このままでは中国の理不尽な言い分だけが独り歩きすることが懸念される。これでは日本の説得がまったく効果を発揮されず、外交力ゼロだと言わざるを得ない。

2023年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com