5825.2023年8月3日(木) トランプ氏3度目の起訴、アメリカの堕落と劣化

 民主主義国アメリカの大統領職を1期全うし、今また2度目の大統領を目指す議員がこれほど民主主義を蔑ろにするような行為を度々実行するとは、誰しも想像もつかなかった。ところが「俺が!俺が!」の自意識過剰のトランプ前大統領は、恥ずかし気もなく3度も刑事事件に問われ、いずれも起訴されたのである。

 この好い加減な人物の周囲には、彼を大統領へ押し上げようとする非民主的輩が大勢いるというのが、アメリカ民主主義社会の根本的な欠陥であり、とても理解出来ないところである。

 一昨日トランプ前大統領が連邦地裁に起訴された。もちろん過去に大統領だったような人物が起訴されるような不祥事はこれまで一切なかった。名誉ある大統領職を汚した「罪人」とも「悪人」とも言える。

 そもそもこの一連の蛮行は、2020年の大統領選に自信満々で臨んだトランプ氏が、民主党候補者バイデン氏に敗れそうになり投票日後まもなく、投票に不正があったと喚きだしたことが発端である。そのために当時のペンス副大統領にバイデン氏の勝利を承認しないよう圧力をかけたことが最初の起訴となった。更に21年1月前年の選挙は「不正選挙」だったと虚偽の主張をして支持者をワシントンの連邦議会に向かわせ議事堂を襲撃した。これが2度目の起訴となった。そして、選挙による平和的な権力の移行という民主主義の根幹を、大統領が自ら踏みにじる行為が問われた。それが3番目の起訴へ繋がった。トランプ氏には、この他にも不倫の口止め料を巡る虚偽記載のスキャンダル、フロリダの別荘へ持ち出した機密文書事件などでも世間を騒がせた。

 以上はトランプ氏に対する虚偽や、作為、隠蔽等々のモラル面が暴かれた例だが、問題はもっと深部にある。それは、トランプ氏の常人とも思えぬ人間性に多くの支持者がまつわりついていることである。彼らもトランプ氏同様に人間性に問題を抱えた人たちが多いと想像するが、一番好ましくないと思われるのは、自分たち、或いは自分と考えが合わない人たちを差別することである。それは黒人層や、移民に対して厳しい見方をすることへ行き着いている点である。

 懸念されるのは、今共和党内の大統領候補者として一番有力なのが、トランプ氏であることであり、とても理解することが出来ない。もし仮に再びバイデン大統領と選挙で争ってトランプ氏が勝ったら、冒頭自身に対する起訴を取り下げ、非民主主義的リーダーが超大国アメリカを統治して、リンカーン大統領の理想は崩れ、人種差別感をむき出しにして国際社会に顔を晒すことになる。

 我々としては外野席から声をかけるようなものだが、何とかトランプ氏が選挙で敗れ、もう政治の世界へ顔を出さないで欲しいと願うばかりである。同時に強く感じるのは、アメリカ人が今や民主主義が分からなくなり、大分病んでいるということである。

2023年8月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com