5819.2023年7月28日(金) パリ五輪会場のひとつがタヒチとは?

 一昨日、パリ・オリンピック開催までちょうど1年となった。ところが、ヨーロッパにも今猛暑が襲っている。そんな中で約2週間のオリンピック開催期間中、屋外スポーツは猛暑を凌ぎきれるだろうか。年々気温が高くなっているが、中でも真夏は想定以上に高温化しているようだ。世界気象機関(WMO)は、今年の7月は観測史上最も暑い月となる公算が極めて大きいと発表した。国連のグテーレス事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と警告し、各国に気候変動対策を強化するよう訴えた。このグテーレス発言に関連するが、去る23日の本ブログに「人類は灼熱地獄の中で亡びるだろう」と私見を書いた。それは各国が独自に温暖化防止対策を講じてもさほどの効果は期待出来ず、すべての国々が一致して足並みを揃え抜本的な温暖化防止対策を考え実行しなければ、根本的な問題は解決しないとの提言である。
 気温とは関係ないが、パリ五輪開催場所であれっと思ったのがサーフィン会場である。原則的には開催都市、つまりパリ市内で開催され、適切な会場がない場合は、せめてフランス国内で開催されるものと考えていた。パリは内陸都市であるため、当然フランス国内の海岸で行われると思い、どこの海岸で開催されるか考えてみた。南仏の地中海沿岸都市には有名な観光地である海水浴場が並び、とてもオリンピックの会場のために2週間も明け渡すことは考え難い。すると西海岸のビスケー湾沿岸都市か、以前訪れたことがある北西部のノルマンジー海岸かと想像していた。ところが、驚いたことにサーフィン会場は、何と南太平洋のフランス領ポリネシアのタヒチ島に決まったのだ。いくらフランス自治の下にあるとは言え、パリから遥かに離れた地でパリ五輪が行われるとは考えも及ばなかった。こうなるとタヒチがフランスから、独立していなかったことが幸いしたとも言える。パリとタヒチ間の直線距離は、パリから大西洋を横断し南北アメリカ大陸を横切り太平洋の真ん中まで、その距離は実に直線で15,700㎞にもなる。そんなに遠い会場で競技を行ってまでしてオリンピックに特殊な種目を開催することに拘る必要があるのだろうか。

 恐らくパリ・オリンピックは、閉会後いくつかの問題を残すことになろう。2020年東京大会もそうだったように炎天下に戸外で競技を行い、選手や観客に心身ともに影響を与えることの問題点、パリからずっと離れた場所で開催される地元意識のない点、等々は特に再検討されなければならないと思う。中でも毎年暑さが厳しくなるその最中に開催する意義はあるだろうか。オリンピックは世界で最も注目され価値あるスポーツ・イベントでもあり、出場する選手や観戦者にとっては一番気候の良いシーズンに開催して欲しいというのが率直な気持ちだと思う。

 問題は、大会協力スポンサーと広告会社、及びテレビ会社の事情によるところが大きい。総括的に資金が動き、最も儲かるスポーツが一番良いシーズンを選ぶようなところがある。今はヨーロッパのサッカー界とアメリカのフットボール界に秋という1年で最高、最適のスポーツ・シーズンを奪われている。どうしてもサッカー界とフットボール界がプレイをしない夏にしか、他のスポーツ用のスペースは空いていない。近年オリンピックは人気スポーツのサッカーやアメフトが避ける炎暑の下で開催されるようになった。スポーツ・シーズンたけなわの10月に開催された1964年東京オリンピックが懐かしく思われる。

2023年7月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com