5802.2023年7月10日(月) 円安の影響は国際統計資料にも及ぶ。

 円安によって日本に意外な損得勘定が生じるものである。とかく話題にされ比較されるのは、1㌦が日本円でいくらに該当し、いかほどの価値があるかということであり、それは毎日外国為替相場で取引されるドルと円の物量に依って決まる。今日の相場では、1㌦=142円87銭であるが、これが上下する度に一喜一憂する人たちも多い。今年の年明けは、1㌦=115円で始まった。従って現時点では正月に比べて大分円の価値が下がり、円の価値としては約23%も下がったことになる。外国人旅行者にとっては日本で買い物すれば、23%安く感じるし、逆に日本人が海外へ出かければ、買い物をする都度23%ほど物価高感を抱くことになる。かつての1㌦=360円時代を思えば、それでも海外でのショッピングは安くなったとも言える。

 実は、今まであまり考えてもいなかったことだが、円安により日本の最低賃金が低くなったことも外国為替ルートによって露骨に判明してきた。もちろん基本的には、その国で最低賃金がそれなりの額で、引き上げ率も納得できるものであることが前提であるが、円換算で見ると日本の最低賃金は、主要先進国だけでなく、韓国よりも低くなってしまったり、オーストラリアに比べると2分の1以下になった。

 労働政策研究・研修機構によると韓国の最低賃金は今年5%引き上げられ、約1,060円になった。これに対して日本では昨年の引き上げ額が、3.3%で961円であり、韓国より1割ほど下回っている。これも円安のマイナス効果であり、かつて20年前には日本の最低賃金は韓国のそれの2倍以上だった。今では、アメリカの一部の州や、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国の最低賃金はほとんど日本の2倍である。これはこれらの国を往来しない限りはピンとは来ないだろうが、円安によるマイナス効果であり、いつまでこの状態を続けることになるのか、暗澹たる気持ちである。

 一般に海外の方が、物価上昇率が高いという事情もあり、必ずしも先進国の国民に経済余力があるというわけではない。その点で若干調整された実感は、例えば2020年経済開発協力機構(OECD)による物価水準を考慮した購買力平価ベースのデータが参考になると思う。但し、これでも日本は8㌦だが、オーストラリア12.9㌦、フランス12.7㌦、韓国8.9㌦など主要国より低い。まだまだ日本の最低賃金は低いと言うべきであろう。同時に、現在の1㌦が140円台を上下しているようでは、輸入に影響が表れ、日本経済もSOSを発せざるを得なくなりそうだ。1㌦が果たして円でどの程度が適当かは、何とも言えないが、円安がずっと続いて経済界が苦しむようだと政府及び日本銀行の責任を問わないわけにはいかない。何とか為替相場を安定させて欲しいと思うし、政府もその気にさえなればできると思う。

 さて今日も東日本は暑い。東京都心では今年初めて36.5℃を記録して猛暑日となり、今年の最高気温を記録した。九州地方は引き続き激しい降雨にやられて、福岡と大分県では大雨特別警報が出され、各地で土砂災害や、河川の氾濫が頻発している。犠牲者も増えているようで、高齢者には早めに避難を呼びかけているようだが、中々大変なようだ。

2023年7月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com