5795.2023年7月3日(月) 反スパイ法施行に中国の傲慢さ

 国際社会に理由もなく恐怖感を与えている独裁国家・中国が、また一昨日から世界中を萎縮させる一方的な法令「反スパイ法」を施行した。これによって中国は、行動が人目につき易かったり、不審感を抱いた外国人を容赦なくひっ捕らえるつもりである。国際社会に向かって中国は、「開かれた市場」をうたい文句に世界各地上に広く進出しようとしているが、反スパイ法は、接触した外国人を怪しい奴と決めつければ、強引に身柄拘束したり、国外追放しようというものである。これが海外へ広く進出しようとしている国家と言えるだろうか。「国家安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品の窃取・提供」とか、「重要な情報やインフラへの侵入や攻撃」をその対象にした中国流反スパイ法について、具体的な防止策を立てられない日本企業は、途方に暮れている有様である。

 この法律が施行される直前の6月27日、世界経済フォーラムの「夏季ダボス会議」で、李強・中国首相は出席した各国の財界人を前に「企業の皆さんが中国に深く分け入ってくれることを希望する。中国は開放的で包容力のある大国だ」と嘘八百の鼻持ちならないスピーチをやったようだが、当然ながら出席者からは冷めた受け止め方をされた。

 昨日付朝日新聞で国際社説担当村上太輝夫氏が解説で、次のような興味深いことを書いている。それによると、中国には「独裁」と言う言葉はないそうだ。それは「ナチス」を思い出させる言葉だという。先月アメリカのバイデン大統領が、習近平国家主席を名指しで「独裁者」と呼んだのは、両者の思惑は少し異なったようだが、中国高官は直ちに反応して、外交儀礼に反すると非難した。

 岩波文庫の「世界憲法集」によれば、中国の現行憲法第1条に「独裁」と言う言葉が以下のように表現されている。「中華人民共和国は労働者階級が領導し、労農同盟を基礎とする人民民主独裁の社会主義国家である」。しかし、これは日本語訳であり、中国語の原文では、「独裁」ではなく、「専政」となっている。「専政」とは中立的な意味だそうである。しかし、中国現行憲法も習近平・現政権によって言葉通り民主義的な運用が行われていないと思う。それを現実的に書き換えて表現するなら「中華人民共和国は中国共産党が領導し、共産党及び軍部を基礎とする共産党独裁の覇権国家である」となる。実際村上氏も「独裁か専政かを問う前に、中国を本当に労働者と農民が主導しているのかと疑いたくなる。実際は民主政治にほど遠い共産党の独裁だ」と決めつけている。一国の憲法にこれほど実態とかけ離れた理想を掲げて、国民をそれに従わせようとする中国共産党とは、国民を支援するのではなく、国民を欺いているだけではないだろうか。

 中国はいつまで身勝手な自己主張を繰り返すのだろうか。反スパイ法の主旨と内容、注意点などについてももっと真摯に説明するべきである。さもないと外国からも次第に見放されてしまうのではないかと老婆心ながら気にしている。

2023年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com