5794.2023年7月2日(日) 2025年大阪・関西万博開催は大丈夫か?

 2025年4月から半年間開催される大阪・関西万博のパビリオン・テーマ館の建設が、入札業者が決まらず、万博協会事務局は随意契約を結ぶことを検討しているようだ。特に生物学者の福岡伸一氏、映画監督の河瀬直美氏ら各界の著名人がプロデユースする8つのパビリオンは独創的なデザインのせいか、昨年6件の入札も不成立に終わった。どうもスタート時点から会場に予定した埋め立て夢洲人工島計画、そして万博後に施設をIR賭博場に転用する一連の計画が、すべて市民の賛成を得ているわけではない。特に賭博場については環境、風紀上などから住民の反対が根強く、大阪市及び大阪府では計画をひっそり進めているらしい。

 これらの入札が決まらない背景には、例によって世界的な原材料不足や原油高、円安などが影響して工事費用が相当値上げされていることが大きいようだ。おまけに先年の東京オリンピック談合という不祥事により大手広告代理店の電通、及び博報堂が1年間入札から排除されていることも響いているようだ。

 この万博には当初経済効果は2兆円、来場者は2,820万人と見込まれていたが、経費の高騰により、入場券は当初大人が4,500円だったものが、6,000円に改定され、最終的に7,500円に決定した。当初料金の2倍近い値上げで、果たして予定している3千万人近い来場者を呼び込むことが出来るだろうか。

 そこへ万博に参加する海外の国や地域が建設する海外のパビリオン建設に必要な申請がまだ大阪市に1件も提出されていないことが明らかになった。万博には153もの国と地域が参加を表明しているが、開催まで2年を切った現時点でまだ1件の申請も出されておらず、当然建設に取り掛かったところもない。現状のままだとオープンに間に合わない恐れがあると悲観的な見方が出ている。

 賭博場の転用や、入場料金値上げ、パビリオン建設交渉不調、等々の芳しくない問題を抱えながら主体的な役割を務める大阪市は、果たして責任を果たすことが出来るだろうか。

 さて、このほどアメリカで大学生に関するひとつの悩みに対して回答が出された。アメリカでは大学入学選考で人種の考慮は、連邦最高裁判所により憲法違反とする判断を示した。この人種考慮という実態が詳しく分からないが、アメリカでは1960年代以降人種差別是正の観点から「積極的差別是正措置」が導入され、入学試験でも黒人やヒスパニックなどの出願者が優遇されてきた。これを今回の連邦裁の判決で、「人種を考慮することは、法の平等保護を求める憲法の規定に反する」との主張を認めたことになる。そのやり玉に上がった名門ハーバード大は、同大学2027年度の卒業予定者の内訳は、白人が4割、アジア系が3割、黒人・ヒスパニック系他が3割となり、白人以外の入学者が増えて白人の差別主義者の願いにはそぐわなくなっている。いずれにせよ、この判例により「積極的差別是正措置」が停止されれば、反って大っぴらに、かつ密かに差別が行われるのではないかと懸念される。時代が経過してもアメリカには、いつも人種差別が解消されない空気があるように思えて仕方がない。

2023年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com