5789.2023年6月27日(火) 市川猿之助逮捕とプリゴジン行方不明

 歌舞伎役者の4代目市川猿之助が、逮捕された。容疑は母親の自殺ほう助である。まだ父親市川段四郎に対する自殺ほう助の疑いで再逮捕される可能性もある。1か月前に自宅で両親と彼自身が自殺を図り、両親は亡くなり猿之助は死を免れたが、ぐったりした状態で見つかった。命に別状はなかったが、その後しばらく入院していた。猿之助は立役と女役をこなす人気、実力ともに当代随一と言ってもいい歌舞伎界を背負う大物役者だった。これまでに歌舞伎界には見られない斬新な企画や舞台で、存在をアピールし、集客も歌舞伎界№1で47歳にして脂の乗り切った現在、これから歌舞伎を発展させていくうえで、無くてはならない看板役者だっただけに、親と相談してこの世からおさらばして来世で出直すとの意気込みはどうにも素直には受け取れない。何が原因で持てる才能を捨ててしまうのか。これから気持ちを入れ替えて再び舞台に立つこともあろうが、その意図がまったく理解出来ない、惜しい大役者の自殺未遂劇だった。

 さて、この数日、ロシア国内の民間軍事会社のワグネル反乱が国際社会で大きな話題となっている。音沙汰がないと言われた創設者プリゴジン氏が、昨日SNSで11分間の音声メッセージを送ってきた。「政権転覆のために進軍したのではない」として、プーチン政権の崩壊を狙ったものではないと釈明した。一方、プーチン大統領は昨夜国営テレビで演説し、当初から流血回避を指示し、ワグネルの処罰はしない形で収拾させた自らの対応の正当性をアピールした。そのうえで反乱の首謀者たちは国と国民を裏切ったとプリゴジン氏を改めて非難した。

 この一連の行動について、アメリカ政府高官はワグネルによる武装蜂起は中国指導部を不安にさせたとの見解を示した。だが、私は個人的にはそうは思わない。むしろ中国はにんまりしているのではないだろうか。中国は近年アメリカに匹敵する大国との自負が強いが、内心は第2次大戦後東欧諸国の超大国だった、ソ連、その後のロシアに対して社会主義国家の2番手で、ロシアの後塵を拝しているとの歯がゆさがあった。この機にワグネル反乱が勃発したことで、ロシア国内のプーチン体制に割れ目が生じ、内乱の可能性さえあったことはロシアを蹴落とす望外のチャンスだと感じたことと思う。習近平国家主席らは内心ほくそ笑んでいたのではないかと思う。

 中国がロシアの評価を下げつつあったのは、ロシアで去る5月9日「戦勝記念日」のパレードの際にも感じられた。プーチン大統領が、ウクライナ侵攻の成果を誇示出来なかったことから国際社会からの孤立と存在感の低下がみられたが、中国の元・前2人のウクライナ大使が、ロシアの敗北は時間の問題と述べたことでも中国のロシア観が透けて見える。大使らは、今後もプーチン大統領指導下での復興は不可能とまで決めつけている。

 同じように中国・ロシアとの関係について、アメリカのナショナル・インタレスト誌が秦剛・中国駐米大使が5月18日号に「中ロは同盟ではない」とか、「中ロ枢軸と騒ぐのは危険な誤解である」との認識を示すなど2国間に距離を置き始めたことも象徴的である。

 それにしても今やロシアの社会主義国家や共産主義国家のイメージは、ロシアの現体制からはまったく感じられなくなった。中国も、自称社会主義国家を唱えているが、まるで正反対の独裁主義による覇権国家へと豹変している。ただ、中国も調子に乗らずに自重自戒をしないと、プーチン体制と同じ道を歩むことになる。ワグネル反乱と同じような事件が起きることは覚悟していた方が良い。

2023年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com