5786.2023年6月24日(土) 刻一刻と進む地球温暖化現象

 地球温暖化による地球上の平均気温が年々上がって、地域によっては生存上の問題も発生している。特に南太平洋上の島嶼では、海面が上昇して島が水没しそうなところもある。

 月刊誌「選択」6月号によれば、地球温暖化の進行について警鐘を鳴らしている「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の数値が間違っているのではないかとの声が、いま北欧の研究者の間で出ているらしい。研究者の生活圏に近い北極圏では温暖化のスピードは、IPCCの予測より速く、深刻な影響を与えているというから一大事である。北極周辺の深海の水温は、40年前との比較で地球全体の平均よりも4倍も高いそうである。今後北極の気温上昇で、地球全体の温暖化は更にスピードを増しそうだという。現実的にはIPCCのモデルより大分厳しいと警戒している。

 極北の寒冷地の島などが急速に暖かくなると、次のように夢想だにしないようなことも起こるという。それは、永久凍土が夏に溶け出し、地滑りや土砂崩れが頻発すると墓地が遺体とともに流される事故となり、島での埋葬は難しくなる。普段は地中に氷結している遺体が、土砂崩れで地表に姿を現すからだ。そんなこともあり、現在ノルウェー政府ではこれら島での埋葬を禁止している。臨終が近いと診断されると本土に緊急搬送し、最後のひとときを本土で迎えてもらうようにしているというからジョークではないかと思うくらいである。

 また、長期間氷が消えることによって北極海では太陽の光を反射しなくなり、北極海の氷の消滅は一段と進む。実は、この現象は北極ばかりでなく、地球の反対側の南極でも起きている。南極の巨大な氷河が大陸から分離する現象が進行している。暖かい海水が氷の一番底の部分を溶かしながら内部に入って来る。氷河の底の空洞部分が大きくなると氷河は崩壊し、南極大陸から分離して以下のように恐ろしいことになる。アムンゼン海にスウェイツ氷河という日本の本州に匹敵する面積を持つ氷河があるが、やがて南極大陸から切り離され究極的には解けて消滅すると見られている。その氷の厚さが3㎞以上あるとされ、これが溶ければ世界の海面は約60cmも上昇する。そうなれば、前記の南太平洋の島々は危機的な事態に追い込まれる。同時に、過ごしやすい都市として知られる南半球のシドニーでは、夏でも平均25℃台であるが、近年それが40℃を超えることがしばしばある。いずれシドニーで人々が暮らすことは不可能になるとの悲観的な予測まで聞かれる。

 今や地球温暖化現象は見て見ぬふりは出来ない。トランプ前大統領当時、環境問題解消のためのCOP25から脱退したアメリカや、ロシア軍のウクライナ侵攻で地球温暖化問題を一時棚上げしている国際社会が温暖化の対応をそのままにするなら、いずれ太平洋の小さな島々は海中に没してしまう。

 この雑誌記事を南極の専門家で、懇意の神沼克伊・国立極地研究所名誉教授にコピーをお送りしたところ、単純には結論は出せないのが温暖化だが、気候変動は長周期と考えていたので、貴重な意見をいただいたとご返信いただいた。

 さ~て、明日から再び暑い日が続くようだ。地球温暖化対策に手を抜くようなことはしないでもらいたい。

2023年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com