5784.2023年6月22日(木) 世界的に男女格差が大きい日本

 男女平等の度合いを指数化した今年度版「ジェンダーギャップ報告書」の数値が、昨日世界経済フォーラムから発表された。調査対象となったのは146か国であるが、その中で日本は何と前年を下回る125位となり、過去最低であると同時に、主要先進国の中でも最下位である。男女同権が強く叫ばれる今日、国際社会から日本の男女間にこれほど差があると見られているのは、聊か恥ずかしいことである。日本の125位というのは、4つのカテゴリーの総合順位であり、教育と健康の分野はいずれも中位内に入っており、格別見劣りするものではない。懸念されるのは、予想通り政治と経済の分野である。政治分野では何と138位というから、下から数えても9番目で世界でとても大きな顔は出来ない。特に政治の世界では、ヨーロッパ諸国で女性首相が度々選出される今日、日本には過去にはひとりもおらず、今後も現状から推察すればその可能性は極めて薄いと言わざるを得ない。

 現在女性の衆議院議員も全体の10%の48人に留まり、女性閣僚に至っては僅か2人である。政界において女性があまり評価されないのは、徳川時代から伝統的に引き継がれた「女は家庭内に留まる」の意識が、長く続いたことから、外で働く女性を無視する風習があった。もうひとつ女性が政界で活躍出来ないのは、長年続いている特有の派閥組織に妨害されているからでもある。派閥の長が自分のやりやすいように人選する現状制度では、まず女性を高く評価するようなことはない。

 それは政界ばかりでなく経済界にも引き継がれている。経済分野でも、政治と同じようなムードがあり、女性が企業などで男性に伍して地位を上げていくのは至難である。私自身が勤務した会社を考えても、女性の採用は庶務係、体裁の好いお茶くみ係をその対象としていたと言っても言い過ぎではない。従って当時は全女性が高校卒で、短大、大学卒はいなかった。

 近年IT産業などでは優秀な人材の枯渇もあり、採用の門戸を広げ、大学卒、高卒を問わず優秀な人材を採用しているようだ。その点では経済分野ではいずれ男女の格差は狭まってくるだろう。問題は政界における男女格差が修正されない限り総合的に日本のジェンダーギャップが好転することはないだろう。

 ただ、この報告書を見て少々首を傾げたのは、中国が日本より上位の107位にいることだ。中国の全国人民代表大会の広大な会場における数千人の全国代表者の内、テレビで女性の姿をほとんど見ることが出来ず、とてもジェンダーギャップが大きい国と見ていた中国が、日本より上位にいるのが解せない。それにしてもこのような調査の都度、北欧諸国が上位を独占していることに敬服している。5位以内に1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、5位スウェーデンが入り、4位のニュージーランドを含めて、近年いずれも女性首相を輩出している。日本の政治家はこれらの例を真摯に参考にするべきではないだろうか。

2023年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com