5783.2023年6月21日(水) 政治改革と身勝手な公費の抑制を

 今日は夏至である。昨日は自民党内で揺れ動いていた今国会での衆議院解散が、岸田首相の意向で行われないことに決まり通常国会は閉会となった。衆議院選に小選挙区を導入してから早いもので30年の月日が経った。一昨日現行制度について与野党の協議会が開かれたが、30年前に政治改革に合意した河野洋平元自民党総裁にとっては、当時と今の制度を比較して率直にギャップを感じているようだ。小選挙区制の最大の問題点は、一旦当選すればずっと当選し続ける可能性が高く政権交代は起きにくいとの意見が多い。現実に、「政権交代が可能な2大政党制」を理想としたが、現実は「自民1強=野党分裂」、また「お金のかからない政治」を理想としたが、「政治とカネは絶えない」となっている。

 当初目指した政治改革だったが、小選挙区制の導入は新旧交代が進まなくなってしまった。それは自民党が、現職議員を優先しており、当選すればいつまでも同じ状態が続くということになり、それが議員の年齢をそのまま高める結果になった。また、世襲政治が蔓延る一因でもある。

 結果的に中選挙区制最後の1993年の総選挙に比べて、一昨年の小選挙区制総選挙では、新顔議員の割合が、26%から14%へ大分低下している。当選者の平均年齢も53.9歳から56.4歳に上昇し、中でも70歳以上の当選者は、14%から16%へ若干ではあるが増えている。また、投票率、特に若者のそれがかなり低い。それらを総合的に判断して、30年前に導入された現在の選挙制度を改めて見直し、現実に政治改革が出来る制度を検討する時期ではないだろうか。

 さて、昨日、今日とテレビで大きく報道されている話題がある。何と今から111年前に大西洋のカナダ南東部沖合で処女航海中に沈没し多数の犠牲者を出した、イギリスの豪華客船タイタニック号を水底で見学するツアーの観光用潜水艇の消息が不明となったのだ。何せ海底3,800mに沈没したまま残骸となっているタイタニック号を間近で見てみようというのだから、関係者の言い分はともかくとても単なる好奇心だけではない。これだけ深い海中では、電波が届かないそうで、水中音波で通信するしかない。その通信が切れてしまって、5人が搭乗する潜水艇にはまだ酸素はあるようだが、いずれそれもなくなってしまう。一刻も早く救助をとアメリカと、フランスやカナダの海軍が支援に向かっているようだが、音波が戻らない点を考えると悲観的にならざるを得ない。7日間のツアーで参加費用がひとり約3,500万円というから、相当の資産家でないととても参加は出来ないだろう。著名なフランス人探検家や、パキスタン人の資産家父子、イギリス人富豪など4人に搭乗員を含めて5人が艇内にいた。

 冒険好きが嵩じて危険なパフォーマンスに挑戦する人たちが昨今目立っているが、ある面では危険な目に遭遇してもそれは自業自得だからやむを得ないとも言える。だが、物好きが嵩じて特殊な冒険にチャレンジした結果、周囲に大きな迷惑と心配をかけた挙句に自分では支払えないほど多額の費用の負担を公的に負わせることがある。

 一昨日沖縄県糸満市沖合にあるルカン礁付近で、潮の流れに乗り海中を移動する「ドリフトダイビング」という海中スポーツ中に、一時ダイバー7人が行方不明になったとSOSが発せられ、海上保安庁のヘリが無事全員を海中から掬い上げ救助した。その時の主催者の言葉が「事故は起こってしまうんで」と述べ、一部で顰蹙を買っている。危ない橋を渡り、公的に救助してもらって相当の公費も支出されたことになるが、主催者にはお詫びの気持ちはまったくないようだ。好き勝手なことをやった挙句に世間に迷惑と無駄な費用を負担させたことについて、もっと良識的な行動を取るよう反省と自粛をすべきではないだろうか。

2023年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com