5779.2023年6月17日(土) 「週刊朝日」最終号発行、無期限休刊

 「サンデー毎日」と並んで、101年もの長い間発行され日本で一番古い週刊誌である「週刊朝日」が、「6月9日休刊特別増大号」を最後に休刊となった。1世紀以上に亘って発行されていた同誌の休刊を惜しむ声はあちこちから聞こえる。その最終号を手に取って、まずその表紙に驚く。折り畳み3頁の編集部内部の写真である。編集長以下33名の正規・非正規編集部員の思い思いの自由な編集部内の写真に「101年間ご愛読ありがとうございました」と書かれている。編集部内の雰囲気は自由奔放な感じが表れているようだが、これも写真家の演出によるものだ。室内にはとても雑誌を編集するような空気がなく、仕事をしながら遊んでいるイメージが強い。服装もマチマチで、居眠りをしたり、タバコを吸っている人もいる。ボクシングの真似事をしたり、ラーメンを食べたり、お茶くみをしたり、そこへ出前のオッサンが入ったり、実に様々で、朝日らしからぬ面白い企画ではあると思う。

 同誌は、最盛期の1958年新年号には154万部を発行したが、以降年々販売数が下落して最近号では、最盛期の20分の1以下の7万4千部しか販売されなくなった。広告収入も減り、朝日は他に週刊誌「AERA」も発行していたが、時代性や印刷方法などを考え、「週刊朝日」を泣いて馬謖を斬ったようだ。これについては、最終号誌上に林真理子氏が疑問を投げている。

 内容的には、国公立大学高校別合格者リストは少々薄っぺらな感じがするが、グラビアで宮崎美子をはじめ過去に女子大生のポートレートを表紙に載せたことや、ありきたりだが、「週刊朝日とわたし」と題して著名人のインタビューをそつなくまとめている。田原総一朗氏の「首相への進言 今こそ対米従属脱却する好機だ」が同誌らしい最後っ屁だ。

 かつてはあれほど売れた同誌がこれほどまでに販売実績を下げたのは、時代性もあると思う。その最たるものは、現代人が本、新聞など紙上の文字を読まなくなり、紙文化の購買者が減ったことだが、同時に「週刊文春」「週刊新潮」など他の週刊誌が、興味本位のプライバシー暴露や、スキャンダル報道などで一般の関心を呼び、購読者が流失したことが大きいと思う。ともあれ我々の就職期には、憧れを持っていたほどの新聞社が、その大きな売り物のひとつが姿を消していくのは何とも言えず寂しいものである。

 さて、昨夕のニュースでプロ野球界で活躍した2人の元有名選手の訃報を知った。ひとりは、私がまだ小中学生のころフォークボールを武器に活躍されていた杉下茂投手である。彼の最も印象的だったことは、1951年のシーズン開幕前にサンフランシスコ・シールズのオドゥール監督に招かれて、当時強打者として力を存分に発揮していた藤村富美男(阪神)、川上哲治(巨人)、小鶴誠(松竹)とともに渡米して、実力を磨き、そのシーズンに最多勝、沢村賞を獲得したことである。通算215勝の実績を上げた。享年97歳だった。

 もうひとりは、広島カープのエースとして活躍した北別府学である。長年広島の大黒柱として活躍し、86年にはリーグ優勝に貢献し、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、沢村賞の他にリーグのMVPに輝く5冠を獲得した。生涯に杉下投手に2勝足りない213勝を挙げた。白血病症状があったとはいえ、まだ65歳は早過ぎる永眠である。

2023年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com