5776.2023年6月14日(水) 元外務省分析官・佐藤優氏の日本外交分析

 ウクライナに対するロシア軍の攻撃は相変わらず問答無用である。報道ではウクライナが部分的に反撃したとも伝えられるが、大勢ではロシア軍の攻撃が激しい。先日ウクライナのヘルソン州でダムが破壊されてからヘルソン州では周辺に大規模な洪水が押し寄せ、多くの避難民が飲料水にも困っている状況にある。

 こういう戦況についてウクライナ、ロシア双方の言い分は、ダムが破壊されたのは相手によるものであるとお互いが相手国を非難し合っている。実際の戦況について本当のところはどうだろうか気になっていた折に、昨日発売された「週刊現代」6月17日号に、ロシアに詳しい元外務省主任分析官の佐藤優氏が、全情勢分析として「ロシア・ウクライナ戦争 正しい理解の仕方」と題して自身の考え方を述べている。ロシアは形勢不利になれば核を使用するので、アメリカはこの戦争に参戦する気はまったくない。特にアメリカはロシアが、「サルマト」というICBMを開発したが、これは南極経由でアメリカを攻撃出来る代物であり、アメリカは今日まで北極経由のミサイル以外まったく想定していなかった。そのためこれに対する防備体制が出来ておらず、使用されることにアメリカは警戒心を強めている。当初はウクライナとロシアの2国間戦争だったが、途中からは日本を含む西側諸国とロシアとの戦争に変容しているとも語っている。

 また、台湾有事を例えに、現在のウクライナを日本と考え、日本が中国と戦うか、或いは、台湾がウクライナの立場で、日本がポーランドの役を務めるかも知れないと言っている。こんな物騒な論理を展開しているのだ。他にもいくつも卓見を主張しているが、ロシア人の性格と国民性を知り抜いているからこそこの佐藤氏の分析は説得力がある。佐藤氏の結論は、「日本人は何も分かっていない。世界が笑っている日本の『ゼレンスキー礼賛』」というから、まるで今の日本の外交政策を憂いながらもせせら笑っているように思える。

 それにしても日本国憲法は戦争を禁止しているが、今や泥縄式に自衛隊という疑似軍隊を抱え、装備も充実させ、日に日に臨戦態勢を備えている。少子化対策が岸田内閣の1つの金看板でありながら、肝心なその予算措置が講じられていないのに対して、軍事費は使用目的が明確化されていないにも関わらず、多額の支出を決めている。佐藤氏の指摘を待つまでもなく、日本は今戦争にまっしぐらである。

 話は全く別物であるが、驚いたことに今日陸上自衛隊の岐阜市内の射撃場で今年入隊したばかりの18歳の自衛官候補生が、3人の先輩自衛官に対して小銃を発砲し、内2人を死亡させたとの衝撃的なニュースが今朝慌ただしく伝えられた。この新米自衛官の採用も当然大幅に増額した本年度防衛費予算に組み込まれていたものだ。この不祥事は偶々起きた事件であるが、無駄に使われた予算であることは間違いない。しかし、国費を無駄にしたことは間違いない。本件以外にも自民党並びに防衛省は、極力国費の無駄遣いをしないようくれぐれも注意して欲しいものである。

2023年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com